計画研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
全身での代謝は、臓器間で連携し協調して調節されている。糖代謝・エネルギー代謝におけるこの協調的代謝調節の乱れが、糖尿病や肥満につながる。研究代表者らは、個体全身での代謝調節に重要な役割を持つ臓器間神経ネットワーク(末梢神経求心路→中枢神経→末梢神経遠心路)を発見した。そこで、肝からのエネルギー代謝亢進シグナル(肝PPARγ発現)における分子機構の解明を目指し、検討を進めた。まず、アデノウィルスを用いて肝へのPPARγ遺伝子導入、活性型総MEK遺伝子導入を行ったマウスの肝臓を用いてマイクロアレイ解析を行い、発現変化を起こしている遺伝子を網羅的に検討したところ、Fsp27の発現の増強を認めた。そこで、これが、肝PPARγ発現の全身での基礎代謝亢進に関与するかを検討するため、Fsp27遺伝子やそのshRNA1をコードした組換えアデノウィルスを作製し、マウスに投与し基礎代謝を検討した。Fsp27の過剰発現により、基礎代謝は亢進し、この基礎代謝亢進は、迷走神経肝臓枝の求心路遮断にて阻害された。さらにFsp27のノックダウンにより、PPARγ遺伝子導入による基礎代謝亢進が阻害された。これらから、基礎代謝亢進シグナルにおけるPPARγの下流にFsp27が存在することが示された。次に、PPARγ遺伝子導入を行った肝細胞の培養上清を初代培養迷走求心性神経にさようさせたところ、細胞内カルシウム濃度の測定により、一部の細胞の興奮が確認され、肝細胞から放出される物質が直接、求心性神経に働きかけることが示された。今後さらにその分子の同定を試みることを計画している。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (2件)
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