計画研究
ネスファチン過剰発現マウスを作製し、過剰なネスファチン産生状態が食行動に及ぼす影響につき解析した。通常食摂餌下では、20週齢までの1日摂餌量や体重増加には全く影響が認められなかった。その原因検索として視床下部神経ペプチドの発現を検討した結果では、摂食抑制性ペプチドの中でCRH、オキシトシンの発現増加が確認された一方、CART の発現は明らかに抑制されており、CART の発現減少がネスファチン過剰発現に拮抗している可能性が示唆された。そのような結果より、CRHやオキシトシン作動性ニューロンはネスファチン-1作動性ニューロンの下流に存在する可能性が示唆されるとともに、CART 作動性ニューロンは、ネスファチン-1作動性ニューロンと相補的に調節がなされている可能性が示唆された。また同マウスにおいて45%高脂肪含有食摂餌下で同様の検討を実施してみると、やはり20週齢までの1日摂取量には全く差異は認めなかったもののネスファチン過剰発現マウスにおいて有意な体重増加が観察され、皮下脂肪重量の増加とともに脂肪肝の進展が認められた。また同マウスでは、血糖値には差異がないものの著しい高インスリン血症が観察された。さらに長期間の45%高脂肪含有食摂餌実験を実施すると、脂肪肝のさらなる進展を認めるとともに、非アルコール性脂肪肝炎 (NASH) の病態とも一致する肝臓内の中心静脈周辺部の線維化の進行が観察されるようになり、ネスファチンの過剰発現がヒトにおけるNASH の病態発現への関与が示唆される結果が得られた。
3: やや遅れている
ネスファチン過剰発現マウスの繁殖が予定通り進まず、必要な雄の個体数を十分数予定通りに得ることが出来なかったため。
繁殖ペアを増加させ、必要な個体数を確保するように努力し、代謝への影響を早急に明らかとするとともに、血圧への関与を明らかとすべく次の段階へ研究を進めてゆく。
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