zic遺伝子を発現する体節由来細胞は背側領域に限局し、発現-非発現細胞が明瞭な直線的境界を胚期から成体まで維持している。このメカニズムを探るため、以下の実験を行った。 境界成立のメカニズム:マイクロアレイ解析および詳細な発現解析により、Zic1/Zic4の下流遺伝子としてfh12a、lfng、slitlaを同定した。さらに、Notchシグナルの標的遺伝子であるher6aおよびSlitlaのレセプターであるrobolaの発現解析から、Zic1/Zic4が体節背側におけるNotchシグナルの活性化およびrobola発現細胞の移動という2つの経路を介して背側形態を制御することが示唆された。 境界における細胞動態(移動、分裂、極性など):明瞭な形態的境界が存在しない状態で、特定の遺伝子発現の境界が維持されるには、位置情報が外から供給されるかクローナルで維持されるか、2つの可能性がある。それらを明らかにする目的で、任意の少数細胞を不可逆的に標識できるIR-LEGO法をメダカの体節細胞に応用し、発生・成長過程における体節細胞の挙動を追跡した。その結果、胚発生期においては筋肉前駆細胞の一部に発現境界を越えた細胞の移動が生じており、発現境界が外部からのシグナルにより維持されていることが示唆された。それらの細胞は孵化後には分化に伴い移動も観察されず、背びれから単離した間充織細胞において発現が維持され続けていたことから、孵化後には細胞自律的に発現が維持されることで境界が維持されることが示唆された。
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