計画研究
平成24年度および繰り越しの平成25年度での研究で、以下の結果を得た。境界成立に関与するシグナル因子の探索:明瞭な形態的境界が存在しない状態で、特定の遺伝子発現の境界が維持されるには、位置情報が外から供給されているか、クローンを維持する機構が働いている可能性が高い。これまでにマイクロアレイを用いて、背腹で発現の差がある遺伝子群を複数単離して、関与する分子実態を探っているが、Notch-Deltaをはじめ、境界と関連して発現するシグナル因子が得られていない。RNA-seq法で再度探索することとした。境界における細胞動態(移動、分裂、極性など)と水平筋中隔との関係:熱ショック(heat-shock;hsp)プロモーターの下流にCre-recombinase (Cre)、恒常的なactin promoter の下流にCre 認識配列(loxP)およびEGFPを導入されたトランスジェニックメダカを用いて、胚から成体期の真皮層(表皮直下)への局所的細胞標識法により、体節形成期以降の胚と幼生において、体節の皮筋節層を標識して、細胞動態を解析した。その結果、真皮層の細胞群は分裂し移動を示した場合でも、一旦形成された背腹境界を越えないことが判明した。さらにこの境界には水平筋中隔が存在し、この隔壁が物理的に細胞の背腹の移動を妨げていることが強く示唆された。また水平筋中隔、およびその周囲の細胞動態の解析から、水平筋中隔は、従来考えられていたような脊索周辺の細胞由来ではなく、皮筋節由来であることが判明した。
2: おおむね順調に進展している
水平筋中隔の関与という予想とは異なる境界形成機構の存在が示唆され、一部実験の見直しが行われたが、研究自体は順調に進んでいる。
水平筋中隔がどのように誘導され、境界形成に関与しているかを中心に解析を進めて行く。
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Nat Communications
巻: 4 ページ: 1-8
10.1038/ncomms2643
http://www.biol.s.u-tokyo.ac.jp/users/hassei/