研究は順調に進行しており、当初の目的であった「ゼブラフィッシュの模様形成原理」に関しては、細胞レベルでの相互作用の組み合わせの発見、そのネットワークがTuringの原理を満たしていることを証明、既に論文発表も行っている。26年度は、得られた知見をさらに進めて、以下の3つの項目に関して研究を進めた。 1)Turing理論の単純化と一般化 実験から明らかになった相互作用に、当初予想されていたような「分子の拡散」は存在せず、変わりに細胞突起による遠隔刺激が使われていた。反応拡散によるパターン形成の必要条件は「近距離の活性化+遠距離の抑制」であり、拡散が無くても理論上は大きな問題は無いが、実験レベルで考えると現実の系への適用に問題となるので、遠隔刺激の種類に依存しないモデルを構築した。 2)色素細胞間相互作用におけるギャップジャンクションの機能 コネキシンの持つ2つの機能(ギャップジャンクション、ヘミチャンネル)のを別々に測定し、それぞれが模様にどの様な影響を与えるかを明らかにした。 3)インビトロの模様形成 これまで、インビトロでは細胞間の「追いかけ合い」が観察できるだけであり、究極の目標であるインビトロパターン形成には至っていなかったが、鰭を構成する細胞の高密度培養により、縞模様に近いパターンが作れるようになっている。今後、さらに条件を改良し、完全な縞模様を作ることを目指す。
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