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2013 年度 実績報告書

細胞のキラリティによる左右非対称な組織形態形成のロジック

計画研究

研究領域ミクロからマクロへ階層を超える秩序形成のロジック
研究課題/領域番号 22127004
研究機関大阪大学

研究代表者

松野 健治  大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (60318227)

研究分担者 石川 裕之  千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (00398819)
研究期間 (年度) 2010-06-23 – 2015-03-31
キーワード細胞キラリティ / MyosinID / 形態形成 / アクチン / 細胞キラリティ / 細胞極性 / コンピュータ・シミュレーション / ショウジョウバエ
研究概要

ショウジョウバエ消化管の左右非対称性が形成される過程で、個々の細胞はキラルな形状[planar cell chirality (PCC)]をとる。本研究では、PCCによって左右非対称な組織構造が形成される機構や、これまでの研究で同定した消化管の左右非対称性形成に必須な遺伝子がPCCの形成でどのように機能しているのかを明らかにすることを目的とする。平成25年度の研究では、次のような成果を得ることができた。
1 Myosin31DF(Myo31DF)突然変異体では、胚後腸の左右非対称性とPCCが鏡像化する。Myo31DF突然変異細胞と野生型細胞からなるキメラの消化管において、PCC形成の有無を調べた。その結果、野生型細胞は正常なPCCを示したが、Myo31DF突然変異細胞はPCCを示さなかった。この結果は、PCCの形成が組織全体で起こるのではなく、それぞれの細胞で個別に形成されることを示唆している。
上で述べたキメラの消化管を模倣した上皮細胞のコンピュータ・シミュレーションを構築した。このコンピュータ・シミュレーションでは、後腸を作っている上皮細胞の管の内側に面した細胞の形態(細胞間の境界)を二次元的に扱っている。in vivoにおけるMyo31DF突然変異細胞と野生型細胞のPCCの様子を再現できるパラメータを検討した結果、野生型細胞は、Myo31DF突然変異細胞と比較して、細胞間の境界に強い収縮力がかかっていることが予想できた。
2 平成24年度の研究において、野生型胚の消化管に磁気ビーズを顕微注入し、磁気ピンセットを用いて左ネジ捻転を止めることで、野生型の左ネジ捻転のトルクを計測した。しかし、磁気ビーズの顕微注入の成功率が低いため、これを改良する必要があった。平成25年度の研究で、極小の鏡を用いることで、顕微注入の過程を三次元的に観察できる仕組みを構築することに成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

一部の研究を除けば、当初予定した研究成果が得られているため。また、進展が予定より遅れている研究項目に関しても、平成25年度に改良した方法を用いることで、今後は効率的に研究が進むことが期待できる。

今後の研究の推進方策

1 後腸上皮細胞の三次元構造のイメージを取得し、後腸の捻転の前後において、上皮細胞の三次元形態にどのような差があるのかを解析する。
2 平成25年度の研究において、後腸の捻転トルクを測定する方法を改良した。これによって、従来よりも効率よくデータが取得できる。野生型胚とMyosin31DF胚で後腸の捻転トルクの向きと大きさを解析する。また、後腸の左右非対称性に異常を示す色々な突然変異体において同様の測定を行う。これらの結果をまとめて、後腸の捻転トルクの大きさと向きを決定する遺伝子の働きを明らかにしていく。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (3件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Loss- and gain-of-function analyses of vacuolar protein sorting 2 in Notch signaling of Drosophila melanogaster2013

    • 著者名/発表者名
      Naoki Aoyama, Tomoko Yamakawa, Takeshi Sasamura, Yuka Yoshida, Maki Ohori, Hiroyuki Okubo, Eriko Iida, Nobuo Sasaki, Ryu Ueda, Kenji Matsuno
    • 雑誌名

      Genes Genet. Syst.

      巻: 88 ページ: 45-57

    • DOI

      10.1266/ggs.88.45

  • [雑誌論文] Disruption of Drosophila melanogaster lipid metabolism genes causes tissue overgrowth associated with altered developmental signaling.2013

    • 著者名/発表者名
      Takeshi Sasamura, Kenji Matsuno, Mark E. Fortini
    • 雑誌名

      PLOS Genetics

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1371/journal.pgen.1003917

  • [雑誌論文] 生物のからだはどのように左右非対称になるのか?2013

    • 著者名/発表者名
      黒田純平、中村充利、松野健治
    • 雑誌名

      生産と技術

      巻: 61 ページ: 99-102

  • [学会発表] Quantitation of mechanical force driving left-right asymmetric morphogenesis of the mebryonic gut2014

    • 著者名/発表者名
      Mai Adachi, Naotaka Nakazawa, Reo Maeda, Shukei Sigita, Takeo Matsumoto, Kenji Matsuno
    • 学会等名
      55th annual Drosophila research conference
    • 発表場所
      San Diego, CA, USA
    • 年月日
      20140326-20140330
  • [学会発表] 細胞のキラリティが消化管を左右非対称にする2014

    • 著者名/発表者名
      松野健治
    • 学会等名
      第10回日本消化管学会総会学術集会
    • 発表場所
      ホテル福島グリーンパレス、福島、福島県
    • 年月日
      20140214-20140214
    • 招待講演
  • [学会発表] Reduced cell number in the hindgut epithelium disrupts hindgut left-right asymmetry in a mutant pebble, encoding a RhoGEF, in Drosophila embryos.2013

    • 著者名/発表者名
      Mitsutoshi Nakamura, Kenjiroo Matsumoto, Yuta Iwamoto, Ryo hatori, Kenji Matsuno
    • 学会等名
      第46回日本発生生物学会
    • 発表場所
      くにびきメッセ、松江、島根県
    • 年月日
      20130528-20130531
  • [学会発表] ショウジョウバエにおける消化管上皮の反時計回りの捻転を引き起こす機械的な力の定量化2013

    • 著者名/発表者名
      Mai Adachi, Naotaka Nakazawa, Reo Maeda, Shukei Sigita, Takeo Matsumoto, Kenji Matsuno
    • 学会等名
      第46回日本発生生物学会
    • 発表場所
      くにびきメッセ、松江、島根県
    • 年月日
      20130528-20130531
  • [学会発表] Reduced cell number in the hindgut epithelium disrupts hindgut left-right asymmetry in a mutant pebble, encoding a RhoGEF, in Drosophila embryos.2013

    • 著者名/発表者名
      Mitsutoshi Nakamura, Kenjiroo Matsumoto, Yuta Iwamoto, Ryo hatori, Kenji Matsuno
    • 学会等名
      The second Asia-Pacific Drosophila research conference
    • 発表場所
      Seoul, Korea
    • 年月日
      20130513-20130516
  • [学会発表] Reduced cell number in the hindgut epithelium disrupts hindgut left-right asymmetry in a mutant pebble, encoding a RhoGEF, in Drosophila embryos.2013

    • 著者名/発表者名
      Mitsutoshi Nakamura, Kenjiroo Matsumoto, Yuta Iwamoto, Ryo hatori, Kenji Matsuno
    • 学会等名
      54th annula Drosophila research conference
    • 発表場所
      Washington, DC, UAS
    • 年月日
      20130405-20130406
  • [備考] Matsuno Lab

    • URL

      http://www.bio.sci.osaka-u.ac.jp/bio_web/lab_page/matsuno/index.html

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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