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2011 年度 実績報告書

体の前後軸極性が個々の細胞の極性を同調させるロジックの解明

計画研究

研究領域ミクロからマクロへ階層を超える秩序形成のロジック
研究課題/領域番号 22127005
研究機関国立遺伝学研究所

研究代表者

澤 斉  国立遺伝学研究所, 構造遺伝学研究センター, 教授 (80222024)

キーワードWnt / 非対称分裂 / 細胞極性 / C. elegans / 幹細胞 / Frizzled / βカテニン / 濃度勾配
研究概要

発生における組織構築の際、細胞は同じ方向に極性化して協調的に移動、分裂をする。しかし、このような細胞極性が細胞外のシグナルによって制御される機構は明らかでない。線虫C.elegansの発生の際、ほとんどの細胞は前後方向に分裂し、運命の異なった娘細胞を作り出す。これらの非対称分裂に必要な細胞の極性はβカテニンなどが細胞内で非対称に局在する新規のWntシグナル経路によって、どの細胞でも同じ方向に同調されている。我々はseam細胞と呼ばれる表皮系幹細胞群の極性が3種類のWnt(CWN-1,CWN-2,EGL-20)によって冗長的に制御されていることを明らかにしている。Wntの三重変異体では、幹細胞は極性化するが、極性の方向が異常になることから、Wntは極性の方向を制御している。またWntのうちCWN-2は体の前方で、CWN-1,EGL-20は後方で発現している。驚いたことに、後方で発現しているWntを前方で発現させても、正常に機能する。Wnt依存的な極性協調機構を解明するため、表皮系幹細胞の数、または間隔の異常を指標にRNAi法によるゲノムワイドなスクリーニングを行い数多くの候補遺伝子を同定している。このうち、icd-1とppk-1遺伝子について特に機能解析を進めている。icd-1は新規合成ポリペプチドに結合するβNAC複合体の構成因子であるがその生体内での機能はよくわかっていない。ppk-1はイノシトールリン脂質の一種PIP2を産生するホスファチィジルイノシトールー4リン酸5'キナーゼをコードしている。これらの遺伝子の変異体では幹細胞の極性が異常になる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

RNAi法により極性化に関与する遺伝子を同定している。Wntの挙動を解析するレポーター系統を作成済みである

今後の研究の推進方策

icd-1、ppk-1遺伝子がどのように極性化に関与するか、それ自身の局在、およびこれらの変異体でのWntシグナル因子(βカテニンなど)の局在を観察する。また、これらの遺伝子産物自身の非対称局在の可能性を検討する。またWnt分子がどのように産生細胞から標的細胞に拡散し極性を制御するのか、Wntの挙動を可視化するレポーター遺伝子を用いて詳細に解析する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Multiple functions ofPBRM-1/Polybromo- and LET-526/Osa-containing chromatin remodeling complexes in C.elegans development2012

    • 著者名/発表者名
      Shibata, Y., at al
    • 雑誌名

      Dev.Biol.

      巻: 361 ページ: 349-357

    • DOI

      DOI:10.1016/j.ydbio.2011.10.035

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Wnt regulates spindle asymmetry to generate asymmetric nuclear β-cateninin C.elegans2011

    • 著者名/発表者名
      Sugioka, K., at al
    • 雑誌名

      Cell

      巻: 146 ページ: 942-954

    • DOI

      DOI:10.1016/j.cell.2011.07.043

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Multiple Wnts redundantly control polarity orientation in Caenorhabditis elegans epithelial stem cells2011

    • 著者名/発表者名
      Yamamoto, Y., at al
    • 雑誌名

      PLoS Genetics

      巻: 7

    • DOI

      DOI:10.1371/journal.pgen.1002308

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Wntシグナルは非対称分裂時に非対称な微小管の制御を介してβ-cateninの非対称な核局在を形成する2011

    • 著者名/発表者名
      杉岡賢史
    • 雑誌名

      細胞工学

      巻: 30 ページ: 1294-1295

  • [備考]

    • URL

      http://www.nig.ac.jp/labs/MultiOrg/Multicellular/Home.html

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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