研究領域 | ミクロからマクロへ階層を超える秩序形成のロジック |
研究課題/領域番号 |
22127008
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
松本 健郎 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30209639)
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研究分担者 |
杉田 修啓 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20532104)
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キーワード | バイオメカニクス / 力学解析 / 細胞・組織 / 発生・形態形成 / 生物・生体工学 |
研究概要 |
胚を様々な断面で切断した際の断面の凹凸を調べることで,発生途中の胚内部の応力分布を明らかにすることを目指し,5年間に亙る研究を進めている.内部に局所的に引張とその反作用としての圧縮が作用した物体があった場合,これを力の作用方向と垂直な断面で切断すると,引張力の作用していた部分は陥没し,圧縮力の作用していた部分では突出することが予想される.従って断面の凹凸を細かく調べることで胚内部の応力分布が推定できる.これが測定原理である.試料には操作性を考慮し,アフリカツメガエル原腸胚を重点的に用いている.2年目のH23年度は,主にH22年度末に導入された環境制御型走査型電子顕微鏡ESEM下での断面の観察方法の確立を進めた.具体的には,まず,凍結胚の切断,解凍過程のESEM観察を行った.凍結状態から解凍状態への連続観察には成功したものの,湿度の微妙な調整が難しく,試料表面に水の膜がはり凹凸が見えなくなったり,一定状態に長期間保つことが難しく,高さ計測に必要な視点の違う2枚の画像を同一条件で撮影することが困難などの理由から高さ計測にはまだ成功していなかった.そこでH24年度に繰越した予算を用い,更に解凍時の湿度の保持方法や温度の上昇方法など様々な検討を進めたが,最終的に,本装置の湿度の制御系では,高さ計測に必要な2枚の画像を撮影する間,断面を一定に保つような微妙な湿度制御が困難であり,ESEMを用いた断面解凍過程の観察は難しいとの結論に至った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画したESEMによる断面の詳細観察は困難であることが判り,別の方法を探索した結果,H24年度に形状測定レーザマイクロスコープの導入により観察を可能とすることができたため.また,光学顕微鏡下押込試験装置の改良も仕様の検討に留まっているが,新たにレーザ・アブレーションを利用した胚表面の張力分布測定法を確立できたから.
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今後の研究の推進方策 |
ESEMモードによる胚切断面の凹凸の詳細観察が困難であること,ならびに高真空モード用の乾燥試料を作製する際の断面の凹凸の変化を抑えることが困難であることが判明したため,新たな別の方法で水中の断面の凹凸を計測する方法を探索する.併せて,レーザ・アブレーションを利用した胚表面の張力分布測定法を用いたデータ蓄積を進めるとともに,胚組織の力学特性を見積もる方法を考案する.
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