[1:食虫植物]フクロユキノシタの捕虫葉と扁平葉を栽培条件によって作り分けさせることに成功した。HiSeq2000を用いたゲノム解読のためのライブラリー作成を行った。食虫植物各種の消化液から単離した消化酵素の部分アミノ酸配列に対応するようなcDNAを単離するため、捕虫葉トランスクリプトーム解析を行った。ムラサキヘイシソウ捕虫葉とシロイヌナズナ扁平葉の葉形態形成遺伝子比較から、従来、盾状葉から進化してきたと推定されてきた捕虫葉が盾状葉とは異なった遺伝子発現変化によって扁平葉から進化したことがわかった。 [2:食草転換]ゲノム支援新学術領域の援助のもと、0.3、0.5kbのpaired-end、2、5、10kbのmate-pairライブラリーを作成しHiSeq2000での解読を開始した。メス成虫産卵選好性遺伝子座の連鎖解析のため、169個体の戻し交雑雑種の産卵選好性を調べ、88:81でクルミ選好型とネジキ選好型が分離することを明らかにした。299個のAFLPマーカーを用い、幼虫の耐性遺伝子座連鎖地図を作成し、染色体数に相当の31連鎖群を特定した。戻し交雑世代の分離比からQTL解析を行い、幼虫の耐性を決定している遺伝領域がただ1つの常染色体上にのみ存在することを示した。寄主転換が鱗翅目においてどのように起こっているかを調べるため、タテハチョウ科コムラサキ亜科の系統解析を行い、寄主転換が比較的短時間で起こったことを明らかにした(Ohshima et al. 2010)。このことは、クルミホソガにおいて少数遺伝子が寄主転換に関わるという仮説に合致している。 [3:陸上植物分枝系進化]H3K27me3修飾される遺伝子の中から、いくつかの基準のもと15遺伝子を選び、過剰発現することにより、無限成長と枝分かれに関わるかどうかを調べたが、顕著な表現型は得られなかった。
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