計画研究
1食虫植物の捕虫葉進化(1)植物の葉形態形成の進化について総説をまとめた(Fukushima and Hasebe 2014 Genesis)。(2)ムラサキヘイシソウの捕虫葉は、表側組織内における捕虫葉特異的な細胞分裂方向の変化を介して袋状の葉が形成されることがわかった。(3)フクロユキノシタのドラフトゲノムを決定(Contig N50 = 99.5 kb, Scaffold N50 = 287 kb)するとともに、遺伝子モデリングを完了した(4)コモウセンゴケゲノムのゲノムアセンブリーを開始し、Scaffold N50 = 81 kbのゲノム配列を得た。(5)消化酵素遺伝子の分子進化プロセスを解析した。(6)捕虫葉特異的転写因子ライブラリを用いたフクロユキノシタのノックダウンスクリーニングが進行中であり、捕虫葉発生に関与する遺伝子をこれまでに複数同定することに成功した。2クルミホソガ寄主転換(1)Fosmid library のスクリーニングにより得られたゲノム配列と、RNA-seqのレース間発現比較データを統合することで、両レースの幼虫間でのみ、著しく発現が異なる配列を特定した。(2)クルミホソガを用いた効率的な RNAi法の開発に取り組み、蛹へのインジェクションによる成虫表現型の機能解析が可能になりつつある。3陸上植物の枝葉系の進化 化石学者と共同研究を行い、化石記録と発生遺伝学的研究結果を統合して、総説を出版した。4オジギソウ形質転換系の確立 植物の運動機構の進化を解明するため、アグロバクテリアの感染条件を工夫することにより、オジギソウの形質転換系を確立した。
2: おおむね順調に進展している
サラセニアの研究から食虫植物の捕虫葉進化の分子機構が明らかになりつつあり、フクロユキノシタとコモウセンゴケのゲノム解読実験も無事ほぼ終了した。クルミホソガの食草転換原因遺伝子同定は遺伝子導入実験に時間がかかっていたが問題が解決できつつあり問題無い。
当初計画どおり進める。
成果公開
すべて 2014 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 4件) 備考 (1件)
Genesis
巻: 52 ページ: 1-18
10.1002/dvg.22728
PLoS One
巻: 9 ページ: e88611
10.1371/journal.pone.0088611
Science
巻: 343 ページ: 1505-1508
10.1126/science.1248417
Curr. Opin. Plant Biol.
巻: 17C ページ: 126-136
10.1016/j.pbi.2013.11.016
http://www.nibb.ac.jp/evodevo