計画研究
カイコの食性変異体spliは、カイコの性フェロモンの主成分であるボンビコールに対する応答性が低下し、正常なカイコが交尾行動を示さないボンビカールに対して交尾行動を示し、クワ以外の植物でも摂食する。spli雄成虫の触角電位を計測したところ、変異体ではボンビカールに対する応答は正常であったが、ボンビコールに対する応答がほとんど認められなかった。spli変異体では、ボンビコール受容体mRNAの発現量は約1/1000に低下していた。これらから、spliは、ボンビコール受容体の転写を制御していることが明らかになった。spliのポジショナルクローニングを行い、原因遺伝子を明らかにした結果、転写因子をコードすることが判明した。spli変異体におけるトランスクリプトームの異常を解明するため、Illumina GA2Xで正常蚕およびspli変異体の雄成虫触角のRNA seqをそれぞれ4千万リード以上解読した。そのうち約60%がカイコゲノム配列にマップできた。2系統間で発現量の異なる領域を834箇所同定した。p50T系統(正常)に比べてspli系統(嗅覚異常変異体)で激減するととが分かっているボンビコール受容体(BmOrl)をコードする遺伝子は、RNA seqでも差が大きく出ており、妥当な結果が得られていた。カイコと同じカイコガ族(Bombycini)に属するウスバクワコ(Rondotia menciana;クワ食)およびイチジクカサン(Trilocha varians;イチジク食)のフェロモン腺等のトランスクリプトームをIllumina GA2Xで解析し、アセンブリーした。
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Insect Biochemistry and Molecular Biology
巻: 41(5) ページ: 306-312
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
巻: 108(17) ページ: 7102-7106
http://staff.aist.go.jp/t-fukatsu/SGJShimada.html