計画研究
クワ食4種(カイコ、クワコなど)と非クワ食4種(イチジクカサンなど)の幼虫中腸のRNA-Seq解析を行った結果、β-フルクトフラノシダーゼをコードするSuc1のほか、α-グルコシダーゼをコードするMal1やSuhなど二糖分解酵素遺伝子が、非クワ食の昆虫よりもクワ食昆虫で多く発現することが分かった。酵素活性の糖類似アルカロイドに対する抵抗性の種間比較から、クワ食昆虫のクワへの適応の一因であると推定された。すなわち、クワ食昆虫のMal1はD-AB1・DNJに対して抵抗性を示し、その原因となるアミノ酸配列は局在していた。膜結合型スクラーゼであるSuhについても解析した結果、スクロース特異的な加水分解活性を示し、昆虫種間での糖類似アルカロイドへの抵抗性の比較から、Suhもクワの毒性へ適応して進化してきたと推定された。TALENによってカイコのSuc1をノックアウト(KO)した結果、KO個体は桑葉及び人工飼料に糖類似アルカロイドを添加しても、正常個体と同様に成長した。さらにMal1遺伝子をCRISPR/Cas9を用いてKOした結果、そのダブルノックアウトカイコも、正常個体と同様に成長した。一方、SuhをKOしたところ、人工飼料育で幼虫の成長が遅延し、3つの遺伝子のうちで唯一明瞭な表現型を示した。これらより、膜結合型スクラーゼSuhがクワへの適応に重要な役割を果たしていると考えられる。その他に、スクラーゼの発現が見られる前部糸腺・中部糸腺の遺伝子発現を、上記と同じ8種の昆虫で、RNA-Seqによって網羅的に比較した。また、カイコに近縁の非クワ食種であるイチジクカサンおよびエリサンのゲノム情報を次世代シークエンサーで解読し、遺伝子発現の種間差異を配列レベルで解析する基盤を作った。また、カイコの食性変異体の触角や味覚器官のRNA-Seqのデータを解析し、食性決定の遺伝子機構へ迫った。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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