本研究では鱗翅目昆虫の4つの擬態紋様システムに着目し、擬態の責任遺伝子と制御機構、さらには擬態の成立・進化機構を明らかにした。シロオビアゲハが毒蝶ベニモンアゲハに紋様を似せる原因領域はdoublesexを含む130kbにあること、またこの領域が逆位で安定化され、超遺伝子構造をとっていることなどを発見した。また、カイコの幼虫斑紋変異体pS, msの原因遺伝子を同定するとともに、鱗翅目幼虫のスポット紋様形成がWntシグナルによって制御されることを見出した。さらに、アゲハ幼虫が幼若ホルモンによって切り替わる機構、アゲハの蛹が幼虫時の環境に応答して保護色を切替える機構の分子的背景を明らかにした。
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