研究実績の概要 |
・共生細菌のゲノム解析:体色を変化させる共生細菌Rickettsiellaの全ゲノム塩基配列1,576,143 bpを決定し、論文執筆中である。 ・Rickettsiellaによって誘導される宿主体色色素の同定:LC-MSを用いて、体色変化に関与する主要な3種の緑色色素Viridaphin A1, Viridaphin A2, Viridaphin B1を同定した。本色素群はアブラムシ上科に属する様々な種に存在し、進化的にきわめて古い起源をもつことが示唆された。 ・宿主アブラムシの色素合成候補遺伝子の特定: RNA-Seq法および定量PCR法により、2種のポリケチド/脂肪酸合成酵素遺伝子を色素関連候補と同定した。 ・その他の共生細菌の解析:ホソヘリカメムシの腸内共生細菌BurkholderiaのRPE67系統の全ゲノム塩基配列8.69 Mbを決定し、論文発表した(Takeshita et al. 2014)。日本産害虫ゾウムシ類の細胞内共生細菌Nardonellaの微生物学同定をおこなった(Hosokawa et al. 2015)。クヌギカメムシの卵塊ゼリーに含まれる縮小ゲノム腸内共生細菌 ‘Candidatus Tachikawaea gelatinosa’の 0.71 Mbの完全ゲノム配列を決定し、卵塊ゼリーの生物学的意義を解明して論文発表、プレス発表をおこなった(Kaiwa et al. 2014)。トコジラミの菌細胞塊に局在する栄養相利共生Wolbachiaの1.25 Mbの完全ゲノム配列を決定し、宿主に主にビオチン(ビタミンB7)を供給していることを示し、このビタミン合成系遺伝子群が他の共生細菌からの遺伝子水平転移で獲得されたものであることを解明して論文発表、プレス発表をおこなった(Nikoh et al. 2014)。
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