研究領域 | パーソナルゲノム情報に基づく脳疾患メカニズムの解明 |
研究課題/領域番号 |
22129004
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
桑野 良三 新潟大学, 脳研究所, 教授 (20111734)
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研究分担者 |
柿田 明美 新潟大学, 脳研究所, 教授 (80281012)
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キーワード | アルツハイマー病 / パーソナルゲノム / 次世代シークエンサー / 遺伝子発現 / 脳組織 / 家族内発症 / エクソーム / 変異 |
研究概要 |
アルツハイマー病の大規模GWAS(Genome-wide association study)では、リスク遺伝子APOEに匹敵する疾患関連遺伝子は見出されなかった。一つには比較的頻度の高いSNP(一塩基多型)を用いたためと考えられ、本研究では、原因遺伝子に変異が見つからない家族内多発家系または同胞発症を対象として、パーソナルシークエンスをおこなって、稀な変異、コピー数多型、挿入/欠失等の包括的ゲノム情報を徹底的に取得して、アルツハイマー病の疾患関連領域を同定する。この全エクソン(ゲノム)シークエンス解析をベースとして、パーソナルゲノムの高次構造解析まで踏み込んでアルツハイマー病の発症病態を解明し、新しい分子作用点から治療薬開発研究に向けた分子基盤の解明を目的とする。 家族内に二人以上の同胞発症者と年上の未発症者の家系を対象として、次世代シークエンサーを用いた全ゲノム網羅的塩基配列解析によって、発症者に共通する変異及びコピー数多型情報を取得している。H23年度はexon capture法によって、エクソンを濃縮する前工程処理(ターゲット・エンリッチメント・システム)を施して、エクソーム解析を一部の検体について行った。得られたゲノム配列情報をベースに、公開されている参照配列およびアルツハイマー病関連遺伝子に登録されていない新規の変異を探索・同定する解析フローチャートを作った。 アルツハイマー病発症に関連する遺伝子を解明するために、ヒト凍結脳からRNAを抽出し次世代シークエンサーを用いてRNAシークエンスを行っている。23年度は全体の反応条件の検討を主として行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H22年度までに、次世代シークエンサーの前処理としてDNA断片化、回収率、エクソンキャプチャーの効率の基本条件の検討が終了した。H23年度には、実際の検体を使ってシークエンスを行い、出力されるデータの品質のチェックし、既知の配列と比較してシークエンスの精度が確認できた。H24年度は、計画通り家族内症例に対象を絞って研究を進展させることができる。
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今後の研究の推進方策 |
H23年度までの基礎的な検討が順調に進んだので、基本的には当初予定した計画通りに研究を推進する。本研究課題のみならず、ゲノム研究全体にかかわる問題点がある。ゲノム解析の高速化、精度向上、微量検体の使用を可能とする改良と新機種の開発が目覚ましい。改良型次世代シークエンサーは従来の4倍の解析速度で、消耗品も安くなっている。このような新機種の登場に振り回されることなく最先端の研究成果を上げるために、研究対象を絞り効率良くデータを取得して本研究班の情報研究者と蜜に連携してデータ解析を推進する。
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