計画研究
平成26年度研究では、急性骨髄性白血病(AML)に移行することが知られている骨髄異形成症候群(MDS)や骨髄増殖性腫瘍(MPN)に関して、病期進展の分子メカニズムを明らかにする研究を行った。我々はAML白血病幹細胞に特異的に高発現する分子TIM-3を同定し、TIM-3を標的としたモノクローナル抗体治療により、in vivoでヒトAML白血病幹細胞の根絶が可能であることを報告している(Kikushige et.al, Cell Stem Cell 7, 2010)。MDS症例においても病期進行に伴い、TIM-3陽性の異常表面形質を有するCD34陽性CD38陰性造血幹細胞が増加することを見出した。つまり、MDSからAMLへの病期進展の過程で、TIM-3が何らかの機能を有している可能性が考えられた。TIM-3のリガンドとしてこれまでに最も解析が進んでいるgalectin-9に注目し、galectin-9刺激によるTIM-3 signalingの下流にNF-kBおよびβ-catenin経路が活性化することを見出した。特にβ-catenin経路の活性化に関しては、慢性骨髄性白血病(CML)の病期進行においてその活性化が重要な役割を担うことが知られている。TIM-3がCML白血病幹細胞の機能分子である可能性を考え、病期ごとにCD34陽性CD38陰性造血幹細胞分画内のTIM-3陽性細胞の割合を評価したところ、MDS同様にchronic phaseからblast crisisへ病期進行するのに伴ってTIM-3の発現が上昇することを見出した。すなわち、TIM-3はMDSやCMLの病期進行過程で高発現し、NF-kBおよびβ-catenin経路を活性化することで白血病幹細胞の増殖に寄与する機能分子であると考えられた。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (6件) 備考 (1件)
Blood
巻: 125 ページ: 3014-23
10.1182/blood-2014-12-615781.
Stem Cells
巻: 33 ページ: 976-87
10.1002/stem.1906.
Immunity
巻: 41 ページ: 402-13
10.1016/j.immuni.2014.08.005.
Nature Commun.
巻: 5 ページ: 3368
10.1038/ncomms4368.
Exp. Hematol.
巻: 42 ページ: 955-65
10.1016/j.exphem.2014.07.267.
PLoS One
巻: 9 ページ: e85210
10.1371/journal.pone.0085210.
巻: 42 ページ: 163-71
10.1016/j.exphem.2013.11.005.
http://www.1nai.med.kyushu-u.ac.jp