計画研究
われわれが発見したG0期維持因子(G0-MF)の一つであるFbxw7の機能阻害をする低分子化合物をスクリーニングするアッセイ系の構築を行った。まずFbxw7を蛍光タンパク質monomeric AzamiGreenと融合した組換えタンパク質をバキュロウイルスシステムによって大量に作製し、c-Myc結合部位のリン酸化ペプチドをプレートに固相化して結合すると蛍光を発するようなプレートアッセイ系を構築した。リン酸化有り無しによって結合の特異性を検証し、この結合がリン酸化に依存していることを確認した。本研究の範囲はここまででその後の実際の創薬過程については別の応用研究で行う予定である。次にこのFbxw7の阻害剤がどのような効果を有するかについて、ノックアウトマウスを用いた予測検討を行った。われわれは乳癌患者の末梢血においてFbxw7のmRNA量を測定したところ、Fbxw7が低い群は有意に予後不良であることを発見した。このメカニズムを調べるため骨髄Fbxw7欠損マウスに黒色腫細胞、肺癌細胞、乳がん細胞を移植したところ、Fbxw7欠損マウスでは肺転移が亢進し早期に死亡した。骨髄Fbxw7欠損マウスの肺では、転移初期に癌細胞の周囲にmonocytic myeloid-derived suppressor cells (Mo-MDSC) が集積していた。また癌移植後の骨髄Fbxw7欠損マウスにおいてCCL2とCCL12が上昇しており,これらのレセプターであるCCR2のアンタゴニストの投与により転移巣での癌細胞の増殖およびMo-MDSCの集積が解消された。つまりヒトでは体質的にFbxw7の高低があり、Fbxw7の低い群ではMSCにおけるNotchの分解が不十分なため、その下流遺伝子CCL2が活性化され癌周囲にMo-MDSCの集積を促すために転移巣における腫瘍の増殖が増大すると結論される。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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