研究領域 | 癌幹細胞を標的とする腫瘍根絶技術の新構築 |
研究課題/領域番号 |
22130004
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
須田 年生 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (60118453)
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研究分担者 |
田久保 圭誉 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (50502788)
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キーワード | 癌幹細胞 / ニッチ / 活性酸素 / 血液腫瘍疾患 / 細胞周期 / 低酸素 / Fbw / PO |
研究概要 |
本研究では、 1)癌幹細胞のニッチ細胞の同定 2)ニッチの癌幹細胞に及ぼす作用(癌幹細胞細胞周期など) 3)転移の成立過程:癌幹細胞の流出・定着の機構を解明し、 4)癌幹細胞に対するニッチ制御療法の確立を目指す。 我々は、骨髄中の造血幹細胞は、骨芽細胞や間葉系細胞近くに存在することを明らかにしてきた。抗癌剤を投与し、DNA合成期にある前駆細胞を死滅させ、生き残った静止状態(細胞分裂をしていない状態)にある細胞の残存部位を観察すると、幹細胞は骨芽細胞ニッチに局在している。すなわち、造血幹細胞は、接着分子を介してニッチ細胞と接着して分裂を止めていると考えられる。 平成23年度は、正常造血幹細胞の静止期維持に関わる遺伝子の解析を行った。九州大学・中山教授から供与を受けたp57Kip2,p27Kp1遺伝子欠失マウスをもちいて、両者が、造血幹細胞のG0期を維持するのに重要であることを明らかにした。両者が欠失すると、シャペロンであるHsc70とcyclinD1が核内に入り細胞周期が回転することを確認した。これらの結果は,中山研究室の論文とBack to Backの形でCell Stem Cell(2011)に報告することができた。幹細胞の静止期性の分子機構を解明した論文として、解説入りで評価された。今後は、がん幹細胞でも静止期性の有無について検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
新学術領域内の共同研究として、幹細胞の静止期性の分子機構を解明することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、がん幹細胞でも静止期性の有無について検討する予定である。
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