研究領域 | 癌幹細胞を標的とする腫瘍根絶技術の新構築 |
研究課題/領域番号 |
22130006
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研究機関 | 独立行政法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
北林 一生 独立行政法人国立がん研究センター, その他部局等, その他 (20261175)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | cancer stem cells / MOZ / acute myeloid leukemia |
研究実績の概要 |
Monocytic leukemia zinc finger protein (MOZ)関連融合遺伝子は急性骨髄性白血病(AML)の原因となり,予後不良である.MOZ融合タンパクは,自己複製能をすでに喪失した前駆細胞において自己複製能の再獲得に働き,白血病幹細胞への形質転換に寄与する.MOZとHAT複合体を形成するBromodomain-PHD finger protein 1 (Brpf1)はHox遺伝子の発現に必須であることから,免疫沈降によりMOZ-TIF2とBrpf1の結合ドメインを特定した.また,MOZ-TIF2のBrpf1結合ドメインを欠失したdeletion mutantおよびHAT活性を欠失したpoint mutantを用いて,白血病マウスモデルの作製およびin vitro colony formation assayを行い,Brpf1およびHAT活性のMOZ白血病生成機構における意義を検討した.MOZ-TIF2はMOZのHATドメインのN末端を介してBrpf1と結合することを明らかにした.Brpf1結合ドメインおよびHAT活性を欠くMOZ-TIF2 deletion mutantでは,M-CSFR活性はみられるがマウスでの白血病誘導能はなく,コロニー細胞の不死化能の獲得,Hoxの過剰発現もみられなかった.よって,MOZ白血病の誘導にはM-CSFRとは別にHox経路の活性化が必要であると考えられた.Brpf1結合能を保持したHAT活性欠損型MOZ-TIF2 point mutantでも白血病誘導能を喪失し,Hoxの過剰発現もないことから,MOZ白血病の誘導に必要なHox経路の活性化には,HAT活性が必要であることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
急性骨髄性白血病の約半数を占める染色体転座を伴うタイプについては、がん幹細胞の制御機構の理解が進んできた。
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今後の研究の推進方策 |
急性骨髄性白血病の約半数を占める染色体転座を伴うタイプについては、がん幹細胞の制御機構の理解が進んできた一方で、正常核型の急性骨髄性白血病については十分な解析が出来ていない。今後は、正常核型の急性骨髄性白血病におけるがん幹細胞の制御機構についての解析を進める。
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