計画研究
申請者は、マウスの正常細胞に特定の遺伝子操作を加えることにより、自己複製能と多分化能を有した上、in vivoで高い腫瘍形成能を持つ細胞を樹立することに成功し、それらを同系マウスに少数移植することにより、ヒトに発生する腫瘍に酷似した悪性腫瘍を100%誘導するシステムを保有している。この人工癌幹細胞技術を基盤にし、癌幹細胞の腫瘍形成能・体内での挙動、癌幹細胞と非癌幹細胞との相互作用について解析を行い、制御分子の同定と阻害化合物の探索を行い、癌幹細胞の治療抵抗性を克服する戦略を立案することを目的として研究を実施した。本年度の具体的な成果としては1)骨肉腫幹細胞の高腫瘍形成能を規定する分子としてImp3を見出し、Imp3の発現がin vivoにおける腫瘍形成性と非付着プレートにおける増殖という2つのイベントを同時に制御していることを明らかにした。この所見に基づいて、Imp3発現細胞が付着プレートでは増殖できるが非付着プレートでは増殖できない状態を誘導できる薬剤のスクリーニングを1500個の既存薬ライブラリーを用いて行い、3つの化合物が低濃度でこの条件に合致することを見出した。2)骨肉腫幹細胞を抗がん剤で処理した時、IGF2が上昇し、それによって細胞周期の停止(dormancy)が誘導され、抗がん剤に対する抵抗性が増すことを見出した。さらに、IGF2を起源とするシグナルによって、細胞内のオートファジーが上昇し、細胞内へのグルタミンの流入が上昇し、これらが抗がん剤治療後の残存細胞の生存を担保する機構として働いていることを見出した。よってクロロキンなどによるオートファジーの抑制あるいはL-アスパラギナーゼ処理による細胞内グルタミンの減少によって、有意にこの細胞に細胞死を高率に誘導することが可能となった。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件、 オープンアクセス 7件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)
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