計画研究
真核細胞の核内で起こる全てのDNA介在反応過程において、ヌクレオソーム(ヒストン八量体にDNAが巻き付いたもの)構造はダイナミックに変換せざるをえない。本研究では、ヒストンの個々の残基にアラニン置換を導入した網羅的な酵母ヒストン点突然変異ライブラリーを用い、様々な核内反応時のヒストンの役割の解明を目指した。本領域開始時より、DNA修復( genes Cells 15, 945-958, 2010)、染色体分配(EMBO J. 30, 3353-3367, 2011)、転写伸長(Genes Cells 17, 65-81, 2012)におけるヒストン残基の新規な役割について報告し、成果をあげてきた。一方、新規発想に基づく連結ヒストン法(Functional analysis of linker-mediated complex [FALC] strategy) の開発を成功させ、特に連結されたヒストンH2Bに関し、その機能解析を実現化した(Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 111, 699-704, 2014)。以上を踏まえ、本領域最終年度で、1)相同組換えに関わるヒストンの役割解明と、2)FALC法の脊椎動物細胞への応用に焦点を絞り解析した。解析の結果、ヒストンH2Aの Acidic patchの残基に点変異が導入されると、DNA二重鎖切断の端からDNAを削る効率が低下し、それが1本鎖部分への Rad51(組換え酵素)の結合量の低下を誘起させ、ひいては相同組換え能そのものの低下に繋がることが示唆された。一方、FALC法のニワトリDT40細胞への適用では、酵母連結ヒストンの H2B部位に導入された点変異と同様の効果が、ニワトリ連結ヒストン H2B部位への点変異でも観察されたことから、H2Bの遺伝学的機能解析が世界で初めて脊椎動物細胞で成されたこととなった。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 3件)
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