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2011 年度 実績報告書

クロマチンリモデリングの構造生物学

計画研究

研究領域ゲノム複製・修復・転写のカップリングと普遍的なクロマチン構造変換機構
研究課題/領域番号 22131007
研究機関熊本大学

研究代表者

山縣 ゆり子  熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 教授 (40183678)

研究分担者 森岡 弘志  熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 教授 (20230097)
キーワード構造生物学 / クロマチンリモデリング / ゲノムメンテナンス / タンパク質の大量調製 / タンパク質の結晶化
研究概要

構造生物学は生命現象の各場面を原子レベルの化学の言葉で記述することに成功し、生命科学の発展に貢献してきた。本研究ではゲノム修復、複製、転写のカップリングと普遍的なクロマチンリモデリング機構の原子レベルでの解明を目的に、ゲノムメンテナンスとクロマチンリモデリングに関わる重要なタンパク質の構造生物学的研究を行っている。平成23年度は前年度にほぼ高純度大量調製法を確立したDNAメチル化保護に関わるヒストンメチル化結合タンパク質、新規AP-エンドヌクレアーゼ、ISWIファミリーのタンパク質複合体の中の2サブユニット、さらに以前からほぼ精製法が確立していたRad18/6複合体、MUTYH等についてより結晶生成の確率が向上するように、タグの変更やタグの切除、タンパク質の一部を欠損させたり、置換体を用いたり、Rad6のように2箇所から転写開始が始まる可能性のある配列を改変したり、複合体形成させ結晶化を有利にさせる等、結晶化試料調製に様々な工夫を加え、結晶化を試みた。現在のところ構造解析可能な結晶は得られていないが、微小結晶が得られる確率は増えており、結晶化に適した高純度タンパク質の大量調製に関して随分改善が見られた。さらにISWIファミリタンパク質超分子複合体調製に向けての構成タンパク質フラグメントの大量調製も昆虫細胞を用いたものも加え、進みつつある。その構成タンパク質間の一部について親和性に関する知見についてSPR法により得ることができた。水素原子の位置のレベルでの働く仕組みの解明の課題では、特にゲノムの酸化損傷を防ぐヒトMTH1の中性子構造解析と超高分解能X線構造解析を合わせて行うために、JAXAが行っている宇宙での結晶化実験に参加、地上での結晶化よりも高分解能の結晶を得ることが出来た。中性子構造解析のために必要な大型結晶についても一辺が1mm程度の結晶が調製できるようになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究で最も困難なところは研究対象としているゲノムメンテナンスとクロマチンリモデリングに関わる幾つかの重要なタンパク質を大量調製し、結晶化することで、これに関して現在のところ構造解析可能な結晶は得られていないが、微小結晶が得られる確率は増えている。さらに、水素原子の位置のレベルでの働く仕組みの解明の課題では、hMTH1についてJAXAによる宇宙での結晶化実験で分解能の向上がみられ、中性子構造解析のために必要な大型結晶についても一辺が1mm程度の結晶が調製できるようになった。

今後の研究の推進方策

本研究で最も困難なところは研究対象としているゲノムメンテナンスとクロマチンリモデリングに関わる幾つかの重要なタンパク質を大量調製し、構造解析可能な結晶を得るところであるが、様々な大量調製の工夫により、微小結晶が得られる確率は増えている。特に、目的タンパク質やタンパク質複合体を立体構造レベルで単一に、しかも安定的に調製することが重要であるので、これを指標に、SPR法等を利用して親和性を高めるタンパク質フラグメントの調製など、それぞれのタンパク質に応じた更なる工夫を行い、構造解析可能な結晶を得る予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Cleavage of Oxidized Guanine Nucleotide and ADP-sugar by Human NUDT5 Protein2011

    • 著者名/発表者名
      Riyoko Ito, at al
    • 雑誌名

      J.Biochem.

      巻: 149 ページ: 731-738

    • DOI

      10.1093/jb/mvr028

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Diverse Substrate Recognition and Hydrolysis Mechanisms of Human NUDT52011

    • 著者名/発表者名
      Takao Arimori, at al
    • 雑誌名

      Nucleic Acids Res.

      巻: 39 ページ: 8972-8983

    • DOI

      10.1093/nar/gkr575

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 突然変異抑制酵素NUDT5の幅広い基質特異性発現機構2011

    • 著者名/発表者名
      有森貴夫、山縣ゆり子
    • 雑誌名

      福岡医学雑誌

      巻: 102 ページ: 303-312

    • 査読あり
  • [学会発表] Unexpected Substrate Recognition and Hydrolysis Mechanisms of Human NUDT52012

    • 著者名/発表者名
      Yuriko Yamagata
    • 学会等名
      Keystone Symposia "Structural Biology of Cellular Processes : From Atoms to Cells"
    • 発表場所
      Keystone, USA
    • 年月日
      20120122-20120127
  • [学会発表] 突然変異原となる酸化ヌクレオチド分解酵素における新たな水の役割2011

    • 著者名/発表者名
      山縣ゆり子
    • 学会等名
      2011年度第1回バイオ単分子・水和ナノ構造合同研究会
    • 発表場所
      ホテル箱根パウエル、足柄下郡箱根町(招待講演)
    • 年月日
      20110922-20110923
  • [学会発表] pH-dependent substrate recognition in human MTH12011

    • 著者名/発表者名
      Yuriko Yamagata
    • 学会等名
      XXII Congress of the International Union of Crystallography
    • 発表場所
      Madrid, Spain
    • 年月日
      20110822-20110830
  • [備考]

    • URL

      http://www.pharm.kumamoto-u.ac.jp/Labs/sb/index.html

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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