研究領域 | ゲノム複製・修復・転写のカップリングと普遍的なクロマチン構造変換機構 |
研究課題/領域番号 |
22131008
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
花岡 文雄 学習院大学, 理学部, 教授 (50012670)
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研究分担者 |
益谷 央豪 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (40241252)
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キーワード | DNAポリメラーゼ・イータ / 紫外線損傷 / CPD / X線結晶構造 / DNAポリメラーゼ・ゼータ / ニワトリDT40 / 損傷乗り越え複製 |
研究概要 |
研究代表者および研究分担者は、複製と修復をカップリングする損傷乗り越え複製の普遍性を明らかにするために、以下の研究を協力して進めた。 (1)ヒトPolηの機能構造の解析:米国NIHのグループなどとの共同研究により、ヒトPo1ηとCPDを含む鋳型・プライマーDNAとの共結晶構造解析を行った。CPDを含むDNAは歪みを有するが、Polηが結合することによりCPD周辺のDNA構造の歪みが解消され、無傷のDNAと同様な構造をとることが明らかになった。つまり、PolηはCPDを含むDNAに対して添木のように作用し、DNA構造を変化させながら、正確で効率のよいTLSを担えることが明らかになった。 (2)Polηによる損傷乗り越え複製の損傷特異性の解析:CPDには4つの幾何異性体が存在し、紫外線照射により最も大量にcis-syn型が生じるが、次いでtrans-syn型が生成する。大阪大学のグループが、世界で初めてtraps-syn型のCPDの化学合成に成功した。そこで、ヒトPolηによるtrans-synCPDの乗り越え複製反応について解析を行った。Polηはcis-syn型CPDとは異なり、trans-syn型CPDに対してはヌクレオチドを重合は出来るものの、そこで反応は停止し、乗り越え効率は非常に低いことを明らかにした。 (3)複数の損傷乗り越え複製機構間の連携機構の解析:Polηは紫外線損傷の正確な乗り越え複製を担うのに対して、Polζ(ゼータ)は誤りがちな乗り越え複製に関与していると考えられている。京都大学のグループなどとの共同研究により、ニワトリDT40の異なる損傷乗り越え欠損細胞における種々のDNA損傷に対する応答を調べた。その結果、Polζ欠損下では、Polηが存在することにより、おそらく組換え修復などの経路が阻害され、細胞死に繋がっていることが示唆された。
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