ヌクレオチド除去修復(nucleotide excision repair:NER)機構に異常を持つ色素性乾皮症 (xeroderma pigmentosum:XP)、コケイン症候群(Cockayne syndrome:CS)の原因遺伝子産物の機能解析、紫外線高感受性症候群(UV-sensitive syndrome:UV^5S)遺伝子のクローニング、それらに欠損をもつ患者の分子病態の解析を研究目的とした。平成22年度に以下のような成果を得た。(1)ヌクレオチド除去修復におけるXPA蛋白質とRPAの相互作用の意義を解析した。(2)紫外線損傷部位におけるDDB2(XPE)ユビキチンリガーゼ複合体の機能とその活性制御機構の解析を、再構成モノヌクレオソーム系を用いて解析した。(3)UV^5S患者UV^51KOはCSB遺伝子のヌル突然変異をホモ接合性に持ち、CSB蛋白質は完全に欠損していた。他方、CS徴候を示すCS-B患者では何らかの短縮CSB蛋白質が生成されていた。そして、短縮CSB蛋白質がカンプトテシン処理後のDNA topoisomerase I-DNA covalent complexの修復過程を阻害することを明らかにした。(4)TFIIH非依存性のXPD新規蛋白質複合体(MMXDと命名)を同定し、それが染色体分配に関与すること、XP-D及びXP-D/CS患者細胞では染色体分配の異常が高頻度に認められることを明らかにした。(5)転写と共役した修復に関与するが、これまで未知であったUV^5S/A群(Kps3患者)原因遺伝子を、マウス単一染色体移入、CGH array法等を用いることによりクローニングすることができた。
|