計画研究
これまで生殖器官形成機構に関する性差制御エフェクター遺伝子のスクリーニングを行なって来た。その結果、マウス外生殖器の未分化間葉に発現し、雄型-雌型の生殖器官形成を制御する性差制御エフェクター遺伝子を複数同定した。それらの中には、Oncogeneとして知られている遺伝子も含まれていた。これらの性差制御エフェクター遺伝子は、アンドロゲン投与によって短時間で間葉細胞において発現が誘導される。また、AR(アンドロゲンレセプター)遺伝子ミュータントマウスにおいてその発現は消失した。更に、同制御遺伝子のGFPノックインマウスを解析する事によって、生殖器官の性差決定が行なわれる以前の間葉細胞の純化-単離にも成功した。またこれまでの発見によって(Mol Endo. 2009., Endo. 2010)、Wntシグナルが性差形成制御因子として同定されている。今回新たに同定されたエフェクター遺伝子の制御領域に、これらのWntシグナルを含む、シグナル応答配列を同定しつつある。このように、従来の性差制御エフェクター並びにアンドロゲンシグナル、今回の新規性差制御エフェクターを含む複数の性差制御カスケードが現在解析可能となりつつある。以上総合して内外生殖器の性差構築の解明について着実に進展が得られた。
1: 当初の計画以上に進展している
これまでの研究により生殖器官の性差制御に預かる性差制御エフェクター遺伝子を複数同定した。 世界的に外部生殖器を中心とする生殖器官の発生機構は、我々のグループがリードしてきた。それらの研究を受けての性差制御エフェクター遺伝子の同定は、世界的にも例がない。これらのエフェクター群の中にはOncogeneとして同定された遺伝子も含まれており、GFPノックインマウスを用いる事によって未分化な性差決定に預かる性差間葉細胞の純化も可能となりつつある。更に、同遺伝子のプロモーター領域も同定しつつあり、これまで示唆して来た性差制御に重要なWntシグナルに応答する配列も見出されるなど研究は順調に推移している。また国際会議ISACBC (International Anatomical Science and Cell biology Conference)や米国大学での招聘講演等、海外からの本研究への評価も高い。
同定した性差制御エフェクター遺伝子のプロモーター領域において、アンドロゲンシグナルとWntシグナルの下流であるLef/Tcfシグナルの応答配列を決定する。続いて、核内レセプターのコーファクターを含むARシグナルコンプレックスとWntシグナルとの相互作用をOncogene等の同定したプロモーター上で行なう。同定された性差制御遺伝子は、ホルモン応答性である事が分かっている。よってホルモン刺激や細胞増殖の刺激によりこれらの複数のシグナルコンプレックス間の相互作用が、如何に変化するか、プロモーターやエンハンサーの活性が如何に修飾されるかについて解明を行ない、性差制御機構に関する根源的な知見を得る。
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http://www.wakayama-med.ac.jp/dept/igakubu/160904/index.html
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