計画研究
昨年度(平成25年度)は、体細胞の性が決まる前に生殖細胞には性的な差があることを示し、その差をもたらす遺伝子の同定の解析を行った。今年度(平成26年度)は、体細胞の性が決まった後で生殖細胞の中で働き、卵か精子になるかを決定する遺伝子(生殖細胞の性決定遺伝子)の同定に成功し、その機能解析を行った。この遺伝子を破壊すると、遺伝的雌(XX)では孵化直後のまだ生殖腺が形成途中時期から精子形成が始まり、生殖腺そのものは形態的にも遺伝子発現からも卵巣へと発達する。そしてその卵巣の中は多量の精子で満たされることが明らかとなった。卵巣中の精子を取り出して人工授精させると、卵は発生して孵化し、個体は性成熟をして次世代を得たため、機能的精子が卵巣で作られたことになる。以上のことは、生殖細胞に内在的な性決定(卵か精子になる)の仕組みが存在し、精子形成を抑えることが生殖細胞の性決定に重要であることを示している。この性決定の仕組みは、減数分裂や配偶子形成のコミット、さらには生殖幹細胞確立の仕組みとは区別される仕組みであり、ひとたび精子形成にコミットすると、体細胞側が雌であったとしても機能的精子が作れられることを意味する。一方、ステロイドホルモン投与による性転換は、精子を介して5世代にわたって続き、このときメチル化の変化もゲノムワイドに世代を超えて起きていることが明らかとなった。性がエピゲノムによって規定されていることを示した。このと上記生殖腺の性決定遺伝子のゲノムメチル化や性分化に関与する遺伝子のメチル化にも変化が生じていることが明らかとなった。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (10件) (うち招待講演 2件) 図書 (2件) 備考 (1件)
Development
巻: 141 ページ: 3363-3369
doi: 10.1242/dev.106864
Science
巻: 343 ページ: 91-94
DOI: 10.1126/science.1244724
Sexual Development
巻: 8 ページ: 252-261
Doi:10.1159/000364924
雑誌「科学」特集「愛と性の科学」
巻: July ページ: 764-768
http://www.nibb.ac.jp/reprogenetics/