研究領域 | 先端技術を駆使したHLA多型・進化・疾病に関する統合的研究 |
研究課題/領域番号 |
22133005
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
西村 泰治 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 教授 (10156119)
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研究分担者 |
入江 厚 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 講師 (30250343)
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キーワード | HLAクラス I分子 / HLAクラス II分子 / 抗原ペプチド / HLA結合モチーフ / 抗原提示 / 腫瘍免疫 / 自己免疫 / 免疫療法 |
研究概要 |
免疫療法への応用を目指し、HLAクラスI分子(HLA-I)あるいはクラスII分子(HLA-II)に結合して、それぞれCD8^+細胞傷害性T細胞(CTL)あるいはCD4^+ヘルパー(Th)細胞に提示される、がん抗原ペプチドを同定することを目的として、下記の研究成果を得た。 1.HLA-I結合ペプチドの推定アルゴリズムとHLA-Iトランスジェニックマウス(HLA-I Tgm)を利用した、がん抗原のヒトCTLエピトープの同定:すでに多様ながん組織および成人ならびに胎児期の正常臓器・組織に発現する遺伝子のゲノムワイドcDNAマイクロアレイ解析により、8種類のがん胎児性抗原、あるいはがん精巣抗原を同定した。これらの抗原のアミノ酸配列をHLA-I結合ペプチドの推定アルゴリズムを用いて解析して、HLA-Iに結合すると推定されるペプチドを合成した。これらをHLA-I Tgmに免疫して、HLA-I拘束性マウスCTLを誘導できるペプチドを同定し、さらにこれらのペプチドで健常人あるいは、がん患者の末梢血単核細胞を刺激して、当該HLA-Iとがん抗原を共に発現するがん細胞を破壊できるヒトCTLを誘導できるペプチドを同定した。その一部については、がん免疫療法の臨床第1相試験を開始した。 2.HLA-II拘束性Th細胞エピトープを迅速に同定するための、HLA-II Tgmの樹立:まずクラスII分子のペプチド収容溝のみがHLA-IIに由来し、その他のドメインはマウスのI-E分子をコードするヒト・マウスキメラクラスII遺伝子を作製した。これをマウスL細胞に強制発現させ、これがヒトのHLA-II拘束性Th細胞細胞にペプチド抗原を提示出来ることを確認したうえでマウスの受精卵に注入し、偽妊娠状態のメスマウスの卵管内に移植した。生まれたマウスの中より、当該HLA-IIを発現するファウンダーマウスを2系統樹立した。今後、こららのマウスを交配させて、子孫に確実にHLA-II遺伝子を伝達できるTgmを樹立する。これらのHLA-II Tgmにがん抗原蛋白質あるいは、がん抗原ペプチドを免疫し、HLA-II拘束性マウスTh細胞を効率よく誘導できるHLA-II Tgmを確立する。
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