ヒトの主要組織適合性抗原遺伝子群(HLA)は病原菌に感染したことを感知するなど、免疫系で重要な役割を担う。このHLAは未知のウィルスや細菌に対応するため、ヒトのゲノムの中で最も多型的である。この多様性を形成し維持するメカニズムについて、以下の結果を得た。1) HLA6遺伝子座に働く自然選択の強度は高々3%程度である。2) HLA-DRB1遺伝子座対立遺伝子のペプチド結合領域でのアミノ酸進化速度が一定ではない、3) 対立遺伝子の中には他の霊長類で失われたことによりヒト特異的となった系統があることなどを明らかにした。その他に対立遺伝子間の遺伝的距離と結合するペプチドの種類数との関係を推定した。
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