研究領域 | 先端技術を駆使したHLA多型・進化・疾病に関する統合的研究 |
研究課題/領域番号 |
22133008
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
徳永 勝士 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40163977)
|
研究分担者 |
宮川 卓 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20512263)
本多 真 公益財団法人東京都医学総合研究所, 精神行動医学研究分野, プロジェクトリーダー (50370979)
|
研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | HLA / 疾病遺伝子 / ナルコレプシー / 自己免疫疾患 / 感染症 / 1型糖尿病 |
研究実績の概要 |
本研究では、HLA領域およびゲノム全域における最新の多型解析技術を用いたゲノムワイド関連解析(GWAS)、各々のHLA遺伝子の多型解析、およびリシークエンシングを行い、ナルコレプシーなどの睡眠障害、肝炎などの感染症、1型糖尿病などの免疫関連疾患について病因HLA遺伝子および非HLA遺伝子を特定する。 平成24年度は、関節リウマチの発症、B型肝炎ウイルスの排除、および原発性胆汁性肝硬変の発症についての大規模な多施設共同GWASを実施し、それぞれ9種類、1種類、2種類の新たな感受性遺伝子を同定して論文発表した。これらの成果により、発症感受性や抵抗性の機序について理解が深まった。B型肝炎の感受性遺伝子であるHLA-DPがウイルス排除にも関わることがわかり、一方、原発性胆汁性肝硬変の発症にはTH1細胞およびB細胞の分化・増殖が関与すると推定された。さらに、日本人およびタイ人結核についてGWASメタ解析を実施し、1個の新規感受性遺伝子を同定して論文発表した。スティーブンスジョンソン症候群については、HLA-A*0206とTLR遺伝子多型との間で発症リスクを相乗的に高める相互作用を見出し論文報告した。日本人一般集団では、HLA-DPB1*0401に正の自然淘汰が働いていることも見出し論文報告した。ナルコレプシーについては、これまでのゲノム解析に基づいて、発症機序に自己免疫およびカルニチンシャトルの異常を想定している。そこでL-カルニチンをナルコレプシー患者に経口投与したところ、居眠り時間の有意な減少を観察した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
交付申請書に記載した計画を順調に達成し、その多くを論文発表した。特に6種の免疫関連疾患についてゲノムワイド関連解析(GWAS)等を実施し、HLAと非HLA遺伝子の関連を見出した。
|
今後の研究の推進方策 |
未発表のGWAS成果について論文報告するとともに、GWAS後のreplication studyや第一義的遺伝子多型の同定作業を進め、論文発表を実現する。また、機能解析グループとの連携を深めるとともに、相互作用解析、パスウェイ解析なども導入して疾患発症機序の解明を目指す。
|