計画研究
本研究では、HLA領域およびゲノム全域における最新の多型解析技術を用いたゲノムワイド関連解析(GWAS)、各々のHLA遺伝子の多型解析、およびリシークエンシングを行い、ナルコレプシーなどの睡眠障害、肝炎などの感染症、1型糖尿病などの免疫関連疾患について病因HLA遺伝子および非HLA遺伝子を特定する。平成25年度は、B型肝炎ウイルスの排除や病態進展、およびスティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)の発症についての多施設共同GWASおよびHLA遺伝子群の詳細な多型解析を実施し、新たな感受性遺伝子・アリルを同定して論文発表した。またSJSについてはin silico 立体構造推定を行い、原因薬剤候補とHLA分子の結合性予測を行って論文発表した。関節リウマチに関する最大規模の国際共同研究にも参加し、100種類以上の感受性遺伝子を報告した。これらの成果により、発症・病態の分子機序について理解が深まり、また創薬のターゲットも見出された。また、ナルコレプシーについても最大規模のHLA遺伝子群多型解析を実施して新たな感受性アリルを見出すとともに、コピー数変異(CNV)解析により有意な関連を検出した。すでにGWASで同定した疾患感受性遺伝子(CPT1B)の機能検討により、risk SNPがナルコレプシー群のCPT1機能を有意に低下させること、またCPT1機能低下が臨床症状とも関連することを見出した。自己免疫機序についての検討では、TRIB2自己抗体陽性の患者血清から精製したIgGを脳室内投与すると、マウスのオレキシン細胞の著減が観察された。
2: おおむね順調に進展している
B型肝炎、C型肝炎、スティーブンス・ジョンソン症候群など各種の免疫関連疾患についてゲノムワイド関連解析(GWAS)、HLA遺伝子群の多型解析などを実施し、新たなHLAおよび非HLA感受性遺伝子を見出すとともに、発症・病態機序に関する機能解析も進めた。
より大規模なGWASの実施、並びにGWAS後のreplication studyや第一義的遺伝子多型の同定作業を進める。平行して、機能解析グループとの連携を深めるとともに、相互作用解析、パスウェイ解析なども導入して疾患発症機序の解明と創薬ターゲットの検出を目指す。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 4件) 備考 (1件) 産業財産権 (2件)
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