計画研究
多くの遺伝性眼疾患でHLAとの有意な相関が報告されている。本研究の対象疾患であるベーチェット病、サルコイドーシス、原田病についても人種を問わずHLAとの顕著な相関が報告されており、各々の疾患の発症にHLA遺伝子が深く関与していることは疑いない。近年各疾患を対象に、HLA領域の解析が進められ、疾患と相関する新たなHLA遺伝子または非HLA遺伝子が同定されている。しかしながら、HLAは高度の多型性を示すとともに、強固な連鎖不平衡を有するため、疾患と真に相関するHLA遺伝子あるいは非HLA遺伝子は未だ確定されていない。また、HLAは人種による遺伝子頻度の多様性も示すことから、疾患とHLAの相関に人種差が認められる場合も報告されている。したがって、本研究においてHLA領域を対象にゲノムリシークエンシングを遂行することにより、各々の疾患の真の疾患感受性HLA遺伝子あるいは非HLA遺伝子を確定する。さらに、私達が確定した病因遺伝子と結合する病因ペプチドの検索およびその病因ペプチドの結合阻止分子の同定を行う。これらの成果はHLA関連遺伝性眼疾患の病態の解明に繋がるとともに、HLA分子標的薬の開発を可能にし、HLA関連遺伝性眼疾患の根治治療への道を拓く。平成25年度は、平成24年度に引き続き、ベーチェット病、サルコイドーシスおよび原田病を対象に、HLA領域の網羅的なSNP情報をもとに、各々の疾患に真に相関するSNPの検索を行った。さらに、各疾患に顕著に相関するHLAアリルを対象にしたトランスジェニックマウスおよびノックアウトマウスの作製を行った。
2: おおむね順調に進展している
本研究では、ベーチェット病、サルコイドーシスおよび原田病のHLA関連遺伝性眼疾患を対象に、HLA領域の詳細な解析を実行し、各々の疾患の発症に関わる真の疾患感受性HLA遺伝子あるいは非HLA遺伝子を確定する。さらに、確定した病因遺伝子と結合する病因ペプチドの検索およびその病因ペプチドの結合阻止分子の同定を行う。これらの成果はHLA関連遺伝性眼疾患の病態の解明に繋がるとともに、HLA分子標的薬の開発を可能にし、HLA関連遺伝性眼疾患の根治治療への道を拓くと考えられる。現在までに、ベーチェット病、サルコイドーシスに加え、原田病において、HLA領域の網羅的なSNP情報をもとに、各疾患に真に相関するSNPの一次スクリーニングを完了している。さらに、ベーチェット病、サルコイドーシスおよび原田病の病因HLAアリルを対象にしたモデル動物(トランスジェニックマウスおよびノックアウトマウス)の構築も順調に進行している。以上より、本研究は当初の研究計画のとおり、「おおむね順調に進展している。」といえる。今後引き続き研究を進めることで、当初の目標を達成できると考えている。
現在までに、ベーチェット病、サルコイドーシスおよび原田病におけるHLA領域の網羅的なSNP情報を取得している。今後、HLA領域のSNP解析をより効果的に行うため、日本人集団だけではなく、海外の人種集団も本研究に用いる予定である。海外の人種集団を用いることで、人種を超えて疾患と真に相関する遺伝因子の特定が可能になると考えられる。また、平成25年度に引き続き、ベーチェット病、サルコイドーシスおよび原田病の病因HLA遺伝子を対象にしたモデル動物(トランスジェニックマウスおよびノックアウトマウス)の作製を行う。作製されたトランスジェニックマウスおよびノックアウトマウスを観察し、各疾患発症の有無を解析することで、HLA関連遺伝性眼疾患の発症メカニズムの解明を行う。
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