研究領域 | 先端技術を駆使したHLA多型・進化・疾病に関する統合的研究 |
研究課題/領域番号 |
22133011
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研究機関 | 愛知県がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
森島 泰雄 愛知県がんセンター(研究所), 疫学・予防部, 研究員 (20220056)
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研究分担者 |
森島 聡子 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (40463195)
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キーワード | HLA / ゲノム / 免疫学 / 移植 |
研究概要 |
わが国では非血縁骨髄移植、非血縁さい帯移植が多数例実施されているが、その治癒率は約50%に留まっている。その主な要因は同種移植免疫反応に伴う移植片対宿主反応(GvH)で患者とドナーの組織適合性抗が関与していることが臨床的な解析から判明している。また、HLA-CとHLA-DPB1のアリルの違いにより移植後の白血病の再発が抑制され、移植片対白血病反応(GvL)の存在が明らかにされているが、その本態を明らかにするためには高度な遺伝免疫学的なアプローチが不可欠である。本研究では、GVHDとGVLの差を決定するHLA遺伝子ならびにHLAと連鎖不平衡にある非HLA遺伝子を明らかにすることを目的にしてH23年度は以下の研究を実施した。日本人におけるHLA領域の保存性の解析を非血縁造血幹細胞移植ドナーと患者1600ペアーのHLA領域の約1500のSNPアリルとHLA型を用い、HomozygousなHLAハプロタイプ(HP)を有する個人のSNPコンセンサスシークエンスをベースにして、453種類の日本人のHLA-A~DQB1のHLA-HPとそのSNP配列を決定することができた。頻度の高いHLA-HP40種類の保存性を検討したところ、HLA-HP毎にHLA領域の保存性は異なっており、さらにHLA-HP間では保存された領域(ブロック)を共有しており、HLAとその領域をHLAブロックとして移植免疫反応を捉えることの重要性を示すことができた。HLA適合非血縁移植ではドナーと患者ハプロタイプの不適合によりGvH反応が高頻度に生じるとの海外の報告があるが、日本人間の非血縁移植では高率にHLA-HPとそのSNPが適合しており、さらに不適合移植でもGvH反応に有意差がないとの予備的結果が得られ、日本人間移植におけるGvH反応の低率な発症の要因の一つと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本人のHLAハプロタイプをHLA領域のSNP配列とHLAアリル情報に基づき500種類以上同定することができた。
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今後の研究の推進方策 |
GvH反応とGvL反応に関与する責任遺伝子を同定されたHLAハプロタイプとそのブロックを基盤として解析する。
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