研究領域 | システム的統合理解に基づくがんの先端的診断、治療、予防法の開発 |
研究課題/領域番号 |
22134002
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
稲澤 譲治 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (30193551)
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研究分担者 |
小崎 健一 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (50270715)
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キーワード | がん / 分子標的 / がん遺伝子 / がん抑制遺伝子 / システム生物学 / 遺伝子ネットワーク / ゲノム / エピゲノム |
研究概要 |
がんの統合的ゲノム・エピゲノム解析と治療標的分子シーズの探索を推進するために、がん幹細胞、EMT制御異常、ならびに浸潤・転移に関する新規in vitro/in vivo実験モデル系を開発した。さらに、食道扁平上皮癌、大腸癌、子宮体癌、神経芽腫などの種々のがん腫を対象にゲノム・エピゲノム解析を実施して各種がんのゲノム・エピゲノム解析データ、腫瘍バンク、組織アレイ等の技術とリソースを整備し、これらを基盤に次世代型シーケンサーとその応用技術(ChIPシーケンス他)、BAMCA法やMeDIP法などメチル化DNAハイスループット解析を実施した。取得したがんオミクス情報に基づきシステム生物学的アプローチで、がん特性の分子機序を解明し、がん個性診断バイオマーカーや分子標的治療のシーズを探索した。その結果、子宮体癌において、327種類のmiRNAライブラリーを用いた機能的スクリーニングを基に、新規の癌抑制性マイクロRNA(TS-miRNA)としてCOPZ2遺伝子(17q21.32)の遺伝子内に座位するmiR-152とその標的分子のE2F3、MET,Rictorを同定した。これにより、合成二本鎖TS-miRNAを用いたmiRNA replacement therapyの新規がん治療法としての有効性に期待がかかる。また、私たちは神経芽腫(NB)の自然退縮にLAPTM5の細胞内蓄積により惹起される細胞死が関与する可能性を報告したが、今回、LAPTM5蛋白を基質とするE3ユビキチンリガーゼのITCHを同定した。驚くべきは、ITCH遺伝子は、甲状腺未分化癌の遺伝子増幅の8p12増幅の標的遺伝子として我々が同定した分子である。ITCHは、LAPTM5の発現量を負に制御することにより、NBの自然退縮を抑制している可能性が示唆された。
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