計画研究
がんを統合的に理解するためのシステム的方法論の構築に関して、次の成果を得た。(1)シークエンスデータ解析法:Pairedのコントロールデータがないがんサンプルの場合にも有効な、リカレントなゲノム変異を検定するParametric Aberration Recurrent Test for unpaired data (PART-up) を開発した。また、whole Transcriptome シークエンスの結果であるFASTQファイルのマッピング、融合遺伝子の検出、融合遺伝子候補の一覧を出力するソフトウェアGenomon-fusionを開発した。(2)がん遺伝子ネットワーク解析:遺伝子発現プロファイルデータセットから、二値のフェノタイプを特徴付けるパスウェイを見つける統計的方法を開発した。まずSparse Probabilistic Principal Component Analysisにより各パスウェイの活性度を推定する。次にフェノタイプと強く関連する遺伝子ネットワークをリバースエンジニアする。そしてパスウェイ活性度とフェノタイプに基づいたロジスティック回帰モデルを作る。パラメータの推定にはelastic netを用いた。738個の乳がんデータセットとER陽性/陰性を二値フェノタイプとして、全プロセスをスーパーコンピュータ上で実装し、方法の有効性を確認した。(3)時系列データから動的ネットワークを抽出してシステムとして解析するプロセスなどをパイプラインとしてグラフィカルに作成し、データ解析・可視化・シミュレーション解析を統合的に行うツールXiPを開発した。Rを使った処理が可能であり、Galaxyツールをコンポーネントとして組み込むことも可能となっている。(4)班員、及び連携研究者等とのシステムがんの共同研究を進め、データ解析を通して、腫瘍抑制遺伝子などの探索に貢献した。
2: おおむね順調に進展している
これまで継続して開発してきたシステム解析のための個々の要素技術開発は、ほぼ完了した。一方、あらたな問題として、がんのヘテロ性をシステム的に理解するための方法論の開発が必要となった。また、班員、及び連携研究者との共同研究が大きく進み、その成果が多くでている。また、オミクスデータのシステム的統合理解への方法論も徐々に構築されてきており、今後期待できる。
システムがん全体における情報系・統計科学研究者のデータ処理の負荷がますます大きくなり、新たな方法論の開発に余力がなくなっていることが問題である。また、計算資源はおもに東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センターのスパコンを利用しているが、ストレージを始めとして計算資源の不足が次第に深刻になっている。若干のストレージの追加はおこなったが、データの増加に十分とはいえない状況である。
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すべて 雑誌論文 (18件) (うち査読あり 18件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 5件) 備考 (3件)
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