計画研究
200塩基程度以上の鎖長を持ちRNA分子として機能する、long non-coding RNA(lncRNA)のがんとの関わりは殆ど未解明である。マイクロアレイ解析の結果にもとづいて、肺がんの発生・進展に重要なMYC癌遺伝子産物の活性を反映する遺伝子群をMYCモジュールとして規定した。宮野班の島村らが開発し「京」に実装したGIMLETを用い、MYCの転写調節活性を制御するモジュレーター活性を持つlncRNAを探索し、MYMLR (MYC-modulating lncRNA)を同定した。インビトロでBrdUラベルとともに転写合成したMYMLRを用い、MYMLRに結合するタンパク質を質量分析法によって探索し、MYMLR-binding protein 1 (MBP1)を同定した。また、MYMLRとMBP1の両者がMYCの転写活性を正に制御していること及び、MYMLRがMBP1とMYC mRNAとの結合に必須な分子としてMYCの発現を正に制御しており、細胞周期の進行および細胞の増殖に重要な機能を持つことを明らかとした。MYCの転写活性を調節するlncRNAとしてシステム生物学的解析を通じて探索・同定したMYMLRは、MBP1と結合することによってMYC自身の発現を正に制御し、がん細胞の細胞周期の進行と増殖に深く関わっていることが明らかとなった。また、肺癌の神経内分泌分化を司るASH1に関連するlncRNAとして同定した11個のlncRNAについて、肺癌細胞株へのlncRNA遺伝子の導入による過剰発現やsiRNAによるノックダウンを行い、ASH1による転写制御や細胞生物学的な特性への影響について検討した。その結果、ASH1によって転写誘導される2個のlincRNAが、肺癌細胞株のスフェア形成やSP分画の増加に機能的に関連することを示唆する結果を得た。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 謝辞記載あり 1件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)
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