計画研究
国際がんゲノムコンソーシアム計画の一環として解読している数百例の肝がんの全ゲノムシークエンスデータに,これまで構築してきた高精度ながんゲノムシークエンス解析パイプラインを適用し解析を行い,全症例の全ゲノム上の変異やコピー数,発現,エピゲノム情報を網羅的にカタログ化してきた.今年度は,その統合的解析の成果をまとめ,論文投稿準備を行った.特に新たな解析手法とし,オミックス情報とタンパク質間相互作用等の外部のデータベース,そしてシステム的アプローチの活用により,症例のクラスタリングによる病態分類を行う手法と,それらの結果と臨床情報の関係を調べる方法を開発した.それとともに,その一部の症例群となる肝内胆管癌30例の特徴を,全ゲノム上の変異パタンの主成分分析によりとらえることで,個体と環境等の背景との関係を数学的に明らかにした.それらの結果をまとめ,論文を出版した.およびゲノム再編成の機序の共同研究を行った.また,オミックス解析の一例となる,発現とメチル化との関係をとらえる解析とし,マイクロアレー発現解析により,メチル化酵素の下流遺伝子群の同定を行い,がん発症メカニズムの解明に寄与した.そして予測に関し,大規模臨床検体コホートで臨床病理学的データと遺伝要因とを組合せた関連解析により,病態や薬剤応答などの表現型の予測を行う方法の基礎となる手法を提案,実装,システム化した.これらシステム的アプローチにより,転移の予防,薬剤応答の予測や薬剤耐性獲得の予防,抗がん剤の新規ターゲットの発見・血液診断法の開発などのための基盤構築を行い,次世代のがん医療の産業化とし,個人ごとのクリニカルシークエンスによる薬物の有効性や副作用の予測などの個別化医療への基盤を確立した.生物情報学分野の研究者の育成に関しては,共同研究および論文執筆過程を通じ,研究室間受け入れや議論のための交流の場を設けた.
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件)
Nature Communications
巻: 6 ページ: 6120
10.1038/ncomms7120
Molecular Cancer Research
巻: 13 ページ: 293-304
10.1158/1541-7786.MCR-14-0292-T
血管医学
巻: 16 ページ: 85-91
PLoS One
巻: 9 ページ: e114263
10.1371/journal.pone.0114263
巻: 9 ページ: e92549
10.1371/journal.pone.0092549
実験医学
巻: 32 ページ: 2046-2051