研究概要 |
平成22年度は,(1)光源環境・形状・質感が物体の見えに与える影響の調査,(2)実在物体の持つ分光反射率を推定する手法の開発,(3)人間が好ましいと感じる品質を写真を通して解析した. (1)CG及びコンピュータビジョンの研究分野における関連研究の調査を行った.さらに,一般的な光源環境や一般的な物体の材質がどのような統計量を持つのかについての調査を進めた. (2)精度の高い測色・表色を目的として,実在シーンのマルチスペクトル画像を獲得し,任意光源環境下での質感再現を行う技術を開発した.特に,一般的な物体の分光反射率の統計量に基づき物体の分光反射率を推定する技術を発展させ,動的に変化するシーンの分光反射率を推定する技術を開発した. (3)写真の持つ主観的な品質や色彩調和を評価する手法を開発した.従来の色彩調和モデルは,単純な配色を刺激とする心理実験に基づき構築されており,従来モデルでは様々な色が様々な形で同時に表れる写真の色彩調和を適切に評価することができない.本研究では,写真の色彩調和はその写真中の局所領域の組合せで評価できると仮定し,その主観的品質が高いか低いかの識別手法を設計し,大規模データベースを用いた実験によりその有効性を確認した.
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