研究領域 | 質感認知の脳神経メカニズムと高度質感情報処理技術の融合的研究 |
研究課題/領域番号 |
22135002
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研究機関 | 国立情報学研究所 |
研究代表者 |
佐藤 いまり 国立情報学研究所, コンテンツ科学研究系, 准教授 (50413927)
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研究分担者 |
佐藤 洋一 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (70302627)
岡部 孝弘 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 准教授 (00396904)
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研究期間 (年度) |
2010-06-23 – 2015-03-31
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キーワード | コンピュータビジョン / コンピュータグラフィックス / 物理ベースドビジョン / 形状推定 / 光源推定 / 画像解析 |
研究概要 |
平成24年度まで,形状,材質,光源分布の要素の相互関係の解析と同時推定の不定性を解くのに有効な事象や統計量の解析を進め,人間の質感判断の特性や観察環境に対する質感知覚の依存性に関する知見を得ることができた.平成25年度は、これらの知見に基づき,照明変動下で観察される画像列から物体形状および質感を獲得する手法を開発する.これまで提案されてきた手法の多くが,対象物体の見えが反射モデル式(Lambertモデルにより記述される拡散成分のみを持つまたはTorrance-Sparrowモデルにより記述される艶成分など)により記述されることを仮定している.これに対し,本研究では,対象物体の反射モデル式を仮定することなく形状を推定することができる頑健な手法を提案した.具体的には,光源変動に伴い観察される輝度履歴の性質、輝度ヒストグラムのskewnessが対象物の材質と関係しており,skewnessの考慮により素材の違いに対応可能な頑健な手法を開発することができた.さらに得られた形状に基づき光源方向を推定するこことにより,任意照明下での物体の見えを生成したり,他の材質の見えに仮想的に変更したりすることを可能とする手法へと発展させた. また,実在物体の持つ反射及び蛍光特性のモデル化についても研究を進め,実在物体の反射や蛍光特性の統計量にもとづき,モデル化のための必要な観察条件を明らかにすることにより,少ない計測数の基づき安定にモデル化する技術を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究では,対象物体の反射モデル式を仮定することなく形状を推定することができる頑健な手法を実現した。これまで,対象物体の材質や物体を照らす光源方向が未知という条件での形状推定を安定に実現する手法はなかったが,本研究では領域内で得た知見に基づき,この難しい問題を解くことができた.さらに得られた形状に基づき光源方向を推定することにより,任意照明下での物体の見えを生成したり,他の材質の見えに仮想的に変更したりする(material transfer)への技術応用へと発展させることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は,これまで開発してきた実世界のモデル化技術を発展させ,任意光源照明下での画像生成に用いる技術を開発する.特に,実在物体の反射特性及び蛍光特性のモデル化技術を発展させ,自然界の複雑な材質(反射及び蛍光特性を持つような)のモデル化にも取り組み,任意照明下でのその物体の見えを合成する手法を実現する.さらに,これまでの研究成果をまとめ,国際会議での発表を行い,さらに論文誌への投稿を進める.
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