研究領域 | 質感認知の脳神経メカニズムと高度質感情報処理技術の融合的研究 |
研究課題/領域番号 |
22135004
|
研究機関 | 日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所 |
研究代表者 |
西田 眞也 日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所, 人間情報研究部, 主幹研究員 (20396162)
|
研究分担者 |
内川 惠二 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (00158776)
本吉 勇 日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所, 主任研究員 (60447034)
藤崎 和香 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 研究員 (20509509)
|
キーワード | 質感 / 光沢感 / 色覚 / カラーディスプレイ / 透明感 / 画像統計量 / マルチモーダル |
研究概要 |
・光沢知覚に関する知覚の仕組みの分析を進めた。まず、色の影響の分析を進め、カラー画像の光沢処理において複数の狭帯域の強度画像に分解するという仮説を学会発表した。また、テクスチャシンセシスや画像解析と心理物理実験を融合した手法で、光沢知覚における空間情報の役割の検討を進めた。 ・動画像からの質感知覚として、液体粘性知覚に関する研究を立ち上げた。粘性の異なる液体をCGで作成し、様々な画像操作を行って、粘性知覚の画像手がかりを分析した。また、視覚と温感の相互作用実験の準備を進めた。 ・触覚に関して、空間座標変換の分析に続き、振動情報の符号化の仕組みを分析した。 ・視聴覚統合に関して、物体を叩くシーンにおける視聴覚手がかりを統合した材質の知覚を分析するために、CGに基づく刺激を作成し、評定実験を行った。神経機構を調べるため小松班と協力して予備的なfMRI測定も行った。 ・金銀銅色知覚、光沢知覚、および金属表面知覚との相互関係について調べ、輝度に対するそれぞれの知覚の変化特性を明らかにした。表面色モード知覚を与える限界輝度値と表面の色度輝度統計量との関係を調べ、さらに照明光が変化した際の白色知覚面の色度と周辺刺激のモード知覚との関係を明らかにした。各画素の分光発光特性を単色光レベルで制御できる2次元タイプの新カラーディスプレイの偏心光学系を制作し、2次元画像が提示できることを確認した。 ・西洋・東洋の代表的な絵画の画像統計量の分析結果と各地域の気候帯に特有の照明環境における物体の見え方に相似があることを見出し「絵画様式の生態光学起源説」を提唱した。 ・リアルな物体の画像に順応すると、その後に現れる物体の光沢感や透明感のみならず歪み・凹凸・ざらつきなど三次元形状の知覚も大きく変化すること(一般物体残効)を発見した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述のように、視覚心理物理に関して様々なサブプロジェクトが堅調に進展している。特に、当初計画に入っていなかった粘性知覚の研究が大きく前に進んだ。新カラーディスプレイについては、高速な空間変調器として採用したDigital Mirror Deviceの特異な反射特性に合わせた、偏心光学系からなるスペクトル結像系、投影結像系それぞれの設計、試作を完了し2次元像が得られることを確認した。マルチモーダルな質感知覚については震災および節電の影響で進捗が予定よりやや遅れたものの、昨年度中に外部被験者の評定データを取得することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
研究の方向性が固まってきたので、B班(心理物理)のみならずA班(工学)C班(神経科学)との連携を深めて、問題のより本質的な解決を目指す。
|