研究領域 | 質感認知の脳神経メカニズムと高度質感情報処理技術の融合的研究 |
研究課題/領域番号 |
22135005
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
中内 茂樹 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00252320)
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研究分担者 |
北崎 充晃 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90292739)
永井 岳大 山形大学, 理工学研究科, 准教授 (40549036)
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研究期間 (年度) |
2010-06-23 – 2015-03-31
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キーワード | 質感認知 / 学習依存性 / 光沢感 / 透明感 / 材質感 |
研究概要 |
材質識別について、質感に関する心理評定値群と単純な画像統計量群に対して正準相関分析を行った。正準相関分析によって得られた画像統計量側の正準変数から質感評定値を推定し、その精度を検討した。明るさ感や色鮮やかさ感だけでなく光沢感や透明感において、高い精度で画像統計量から質感評定値を推定できることが明らかになった。一方、重さ感や硬さ感など非視覚的な質感は推定精度が低く、これらの質感評定値は材質と密接な関係にあった。 光沢感知覚について、画像統計量を統制した刺激を用いた順応実験を行った。刺激画像の特定の空間周波数帯域における輝度歪度と順応効果の大きさが相関することを示した。また、同様の刺激に対する光沢感評定実験の結果も同じ空間周波数帯域における輝度歪度と相関したことから、帯域限定的な視覚情報が光沢感知覚に寄与している可能性が示唆された。明るい領域の周囲に輝度勾配を配することで、輝き感を生じさせるグレア錯視について、新しい知見を得た。輝度勾配部分に赤や青などで適切に着色すると、無彩色条件と比べて錯視効果がほぼ倍増することを明らかにした。 透明感知覚について、格子パタンの手前に曲面で構成された透明物体を配した画像を刺激とした心理実験を行った。その結果、透明物体の運動の有無は透明感知覚に影響しないことが明らかになった。その一方で、透明物体の屈折率の推定には透明物体の運動が影響し、静止条件より屈折率を高く推定することが示された。 質感知覚の学習依存性について、真珠品質の評定実験を養殖業者などの専門家と大学教員など一般人を対象に行った。その結果、熟練者の評価は一般人より再現性が高いことが示された。また、一般人は熟練者と同様の視覚情報を利用するが、その半数は熟練者と同様の評価をする一方、残り半数は熟練者と逆の評価をすることが明らかになり、真珠評価の階層性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
材質感、光沢感、透明感など、様々な質感に対する新たな知見が得られており、さらに、エキスパートと素人の間の質感認知の違いについても興味深い結果を得ることができた。現在、論文投稿準備中の成果もあり、実験が進行中の課題もあるが、最終年度に全て成果として発表できる段階にある。
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今後の研究の推進方策 |
実験が終了した課題(光沢感、材質感、など)については論文発表を行う。現在、実験実施中の課題(透明感、光沢感判断における学習効果)については、年度前半で実験を完了し、後半で論文執筆・投稿および学会発表を行う予定である。
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