計画研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
報酬系神経回路の活動状態を、感性的質感認知に大きな影響を及ぼすことなく簡便に計測可能である脳波をもちいて推定する手法に、心拍や呼吸の影響を考慮し、指標の高度化を行った。また、音の感性的質感認知を高める音情報について、その情報構造のパラメータが報酬系神経回路の活性化に及ぼす影響を検討した。信号の複雑性と周波数帯域構造を変化させて、報酬系神経回路を活性化するための音情報の構造について検討した結果、報酬系神経回路を活性化するためには特定の自己相関秩序をもった複雑な信号構造を有することが必要であり、さらに信号の周波数帯域が影響している可能性が示唆された。また、超高周波成分を含んだ音を呈示する前後で、開発した簡易深部脳活性指標と状態不安の程度を示す心理検査STAIの状態不安尺度を計測し、音呈示の影響が両者に及ぼす影響と、両尺度の相関とを検討した。その結果、簡易深部脳活性指標が顕著に上昇するとともに、音響情報呈示前に比べて呈示後の方が、STAIにより評価した被験者の状態不安が顕著に改善した。さらに、簡易深部脳活性指標とSTAIにより計測した状態不安尺度との間に、強い負の相関が存在することが、高い統計的有意性をもって示された。超高周波振動の身体受容部位を検討するため、可聴音と超高周波振動をそれぞれ独立して呈示し、超高周波振動を人間の首から上の頭部に呈示した場合と、首から下の身体に呈示した場合とに分けて、超高周波振動の有無による効果の違いを調べた。その結果、超高周波振動を首から上の頭部に呈示したときには深部脳活性指標の変化が見られず、首から下の身体に呈示したときには、超高周波振動の付加によって深部脳活性指標が統計的有意に増大した。この結果は、感性的質感認知を引き起こす報酬系神経回路の活性化は、首から下の身体に超高周波振動を呈示した場合にのみ導かれることを示している。
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IEEE Transactions on Nuclear Science
巻: 56 ページ: 668-673
ASIAGRAPH Journal
巻: 4 ページ: 53-58
http://www.ncnp.go.jp/nin/guide/r7/index.html