計画研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本研究の目的は、新しい次世代のフィジオーム・システムバイオロジーシミュレーション基盤を開発することにある、これまでに開発を進めてきたシミュレーション基盤ソフトウェア(insilicoIDE)の更なる洗練化・機能の充実を計ることで、より新しいオーブンな基盤ソフトウェア(PhysioDesigner)のプロトタイプ開発を行った。本基盤ソフトウェアを広く公開し、多くのユーザーに使用してもらうための普及活動も並行して実施した。一方、心組織構造と機能連関の実証研究の一環として、(1)心筋細胞の微細構造に基づくCa^<2+>動態、(2)心組織モデル上での興奮伝播シミュレーションを実施した。自律神経作用下においてCa^<2+>動態は極めて重要であるが、Ca^<2+>の時空間的動態計測が困難であることもあり、現在のところCa^<2+>動態を正確に再現できる心筋細胞モデルは存在しない。先行研究により、Ca^<2+>イオンの細胞内拡散は、純水中の拡散に比べ、拡散速度が低下することが予想されていた。本研究により、カルモジュリン分子の様なCa^<2+>バッファとCa^<2+>イオンとの相互作用が、Ca^<2+>拡散速度の低下に寄与することを解析的に示した。また心組織モデルの興奮伝播シミュレーションから以下が明らかとなった:1)心内膜-心外膜間では、興奮の終了(再分極)時間に時間的な差が存在する。心室壁におけるこの再分極時間のばらつきは、心室、頻拍の維持に車要な役割を担っている可能性を提案した。2)心筋細胞の接含部に面した細胞膜にはNa^+チャネル(NaCh)が高密度に発現することが知られている。このNaChはgap-junctionによる電気的伝導度が低下した場合の興奮伝導速度の維持に寄与し、一方、.細胞側面膜に発現するNaChは、興奮伝導速度、および興奮伝導のロバスト性の増加に大きな寄与をなす可能性が示唆された。
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