当該年度においては、心臓モデルと全身代謝循環モデルの実装と統合を可能とするソフトウエアプラットフォームの開発を行った。このプラトフォームは、GarudaPlatformと呼ばれる多くのソフトウエアを連動することを可能とする基盤部分と実際のモデルを構築するアプリケーションに分かれる。アプリケーションとしては、多階層モデルを実装することが可能なPhysio Designerを開発し、その第一版をリリースした。このPhysio Designerは、研究協力者であるSamik Ghoshらの開発する細胞レベルのモデル構築での国際的標準ソフトウエアであるCell Designerとの一貫性を高めCell Designerで開発したモデルをその一部のモジュールとして取りこむことが可能である。さらに、これの結果を共有する枠組みであるPayaoや大規模計算機を用いてシミュレーションを可能とするソフトウエアFLINTの開発も継続している。さらにGaruda Platformは、これらのソフトウエア群を国際標準として普及し、さらに国内外の有用なソフトウエアをいち早く本プロジェクトに活用すると同時に、当プロジェクトの成果を国際標準として普及する一連の施策も実施している。 さらに、Cell DesignerやPhsyio Designerで構築したモデルに対して、各種薬剤がどのように相互作用するかの推定を可能とするソフトウエアを開発し、そのプロトタイプが稼働した。これは、計算構造生物学の手法と相互作用ネットワークの手法を融合し、薬剤が想定されるターゲット以外にどのように相互作用するのかをより正確に予測し、実際の薬効、副作用の推定精度を高める手法である。 これら一連のソフトウエア基盤の第一版が完成し、今後は、その機能拡張とモデル構築をへた効果の実証をおこなっていく。
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