研究領域 | 統合的多階層生体機能学領域の確立とその応用 |
研究課題/領域番号 |
22136003
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研究機関 | 沖縄科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
北野 宏明 沖縄科学技術大学院大学, オープンバイオロジーユニット, 教授 (80500256)
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研究期間 (年度) |
2010-06-23 – 2015-03-31
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キーワード | シグナル伝達 / ゲノム / 情報工学 / シミュレーション工学 / 循環器 |
研究概要 |
プロジェクト全体にわたるソフトウェアプラットフォームの研究開発が、当グループのミッションである。この目標を実現するために、多階層モデリングを可能とするソフウェアプラットフォームであるPhysioDesignerの開発、CellDesignerの拡張として多様な化合物がネットワーク上で想定しているターゲット以外の分子と相互作用し、ネットワーク全体にどのような影響をあたるかを推定するソフトウェア、PhysioDesignerならびにCellDesignerのモデルをクラウド上で、高速シミュレーションするソフトウェアFLINT、さらには開発したモデルをプロジェクトで共有しより精度を上げるプロセスをサポートするソフトウェアPayaoならびにiPathways+などを開発した。これらの一群のソフトウェアは、当プロジェクトで提唱する国際連携プロジェクトであるThe Garuda Allianceで提供されるGaruda API/Garuda Coreに準拠し、スムーズに連動する例を見ないソフトウェア群に仕上がっている。The Garuda Allianceは、すでに、南カリフォルニア大学、EMBL、エジンバラ大学、マンチェスター大学、モナッシュ大学(豪)、ルクセンブルグシステムバイメディシンセンターなど、国際的に十数機関の共同プロジェクトとして発展を始めている。さらに米国Food and Drug Administration (FDA)もこのプラットフォームならびにそこで可能となる多階層モデル化技術に興味を持ち、実際に一部の研究をこのソフトウェア群を用いて開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
我々が開発を進めている「PhysioDesigner+Flint+CellDesigner+高精度Docking Simulator」のようなタンパクレベルから生理学的レベルのモデリング・シミュレーションを網羅したパッケージは、基盤的インフラでありながら、これまで開発がなされていなかった。 PhysioDesignerとCellDesignerの連携がより密なものになり、細胞内分子相互作用から生体レベルまでを統合してモデル化するソフトウエア基盤がより高度になった。さらに、FLINTやPayao, iPathways+などの周辺ソフトウェアも出来上がり、一つの研究支援パイプラインとして類を見ないレベルに達している。さらに、高精度ドッキングシミュレーションの第一版が完成し、非常に良好な成績をおさめている。 すでにこれらのソフトウェアに関しては、国内外の製薬会社、食品メーカー、化粧品メーカーから問い合わせが相次ぎ、一部は、試験的な導入を開始している。また、欧州の産学プロジェクトであるInnovative Medicine Initiative (IMI)などとの連携が進み、製薬プラトフォームとの連動が進められる予定である。 今後、より機能の拡充、使いやすさの向上、さらなる連動性の向上などを進めていく。この進展を見て、国外からいくつもの連携の提案が寄せられている。Garuda allianceも、国内外に大きな流れとなりつつある。
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今後の研究の推進方策 |
急速な導入希望企業や研究グループの増加をうけ、機能向上を加速するとともに、標準化、普及に注力する。そのため、国内外の学会、個別研究所、企業へと積極的に訪問し、導入を働きかけると同時に、ニーズを吸い上げ、早急に開発にフィードバックする。そして、この分野での基幹ソフトウエアプラットフォームの座を固める方向で活動する。
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