研究領域 | 統合的多階層生体機能学領域の確立とその応用 |
研究課題/領域番号 |
22136006
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
張 功幸 大阪大学, 薬学研究科, 特任准教授 (50347423)
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研究分担者 |
好光 健彦 大阪大学, 薬学研究科, 准教授 (30301576)
兒玉 哲也 大阪大学, 薬学研究科, 助教 (00432443)
小島 直人 大阪大学, 薬学研究科, 助教 (90420413)
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キーワード | 有機合成化学 |
研究概要 |
薬物(低分子化合物)-蛋白質相互作用のモデル理論を実験科学的に検証することは本領域研究の成功に必要不可欠である。本研究ではその検証ツールとなる低分子化合物の多種多様な置換誘導体合成を考慮した高効率的迅速合成法の開発を行うとともに、合成した低分子化合物群を効率的に供給することで本領域研究に貢献する。本研究2年目にあたる平成23年度は、以下の成果を得た。 本領域研究内の共同研究として私たちは他の計画研究班の実験ツールとして必要な低分子化合物群の供給を担った。具体的にはAO2-2班との共同研究により心血管TRPチャネンルをターゲットとしたチャネル選択的アンタゴニストあるいはアゴニストの開発を目指し、私たちが独自に開発した合成手法を活用して複素環をはじめとする様々な骨格を有する低分子化合物を供給した。さらに、AO2-3班との共同研究も開始し、心臓特異的発現を示すアデニル酸シクラーゼサブタイプ(AC5)選択的アンタゴニストの開発を目指して低分子化合物の供給を行った。 上記に加えて、様々な標的低分子化合物の供給に即座に対応すべく、新規合成方法論の開発も検討した。結果、プロピオレートを求核剤とするアルデヒドの効率的な新規不斉アルキニル化反応を開発すると共に、それを用いる光学活性2-オキサゾリジノン類のワンポット合成法の開発に成功した。また、紫外光あるいは遷移金属が誘起するラジカル反応を駆使した新規骨格構築法の開発として、紫外光あるいは遷移金属が誘起するラジカル反応を鍵として、迅速な化合物供給に資する有機分子骨格形成法の開発に成功した。本手法の適用により、抗生物質プラテンシンや神経興奮性物質カイニン酸の化学合成に成功した。さらに、立体配座制御を施した生体分子ミミックとしてヒドロキサマート架橋を持つ核酸アナログ、硫黄原子を糖部に持つ核酸アナログ、ピラノース骨格を持つ核酸アナログの新規合成法の開発に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定のAO2-2班との共同研究に加え、新たにAO2-3班との共同研究を開始した。実際にAO2-2班とAO2-3班に化合物の供給を行った。新規合成方法論の開発に関しても、様々な方法論の開発に成功し、当初目的を達成できたと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、研究領域内の他の研究班に必要な化合物群の供給ならびに新規合成方法論の開発を行う。現段階において、いずれの研究(化合物群の供給ならびに合成方法論の開発)ともに概ね計画通りに進展できていることから、当初の研究計画に基づいて今後も引き続き研究を進めていく。
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