研究領域 | 統合的多階層生体機能学領域の確立とその応用 |
研究課題/領域番号 |
22136009
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
石川 義弘 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40305470)
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研究分担者 |
赤羽 悟美 東邦大学, 医学部, 准教授 (00184185)
佐藤 元彦 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (40292122)
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キーワード | 心臓 / cAMP / カルシウム / 交感神経 / 心機能制御 |
研究概要 |
心臓における自律神経調節の主体は、交感神経受容体と共役してcAMP産生を担うアデニル酸シクラーゼである。アデニル酸シクラーゼによって産生されたcAMPはPKAを活性化し、細胞内諸分子のリン酸化を引き起こし、心筋細胞の変力・変時作用を引き起こすことが知られている。その主要な標的のひとつが電位依存性L型Ca2+チャネルであり、リン酸化によってチャネル活性の上昇を起こし、細胞内Ca2+の流入を増加させて心筋の興奮性を制御する。アデニル酸シクラーゼには多数のサブタイプが存在し、心筋細胞にはいわゆる心臓型と称される5型、6型サブタイプが発現することが知られている。心臓型サブタイプは、Ca2+イオンにより直接抑制されることが特徴的に知られており、このことは電位依存性L型Ca2+チャネルから流入したCa2+が、アデニル酸シクラーゼを直接に抑制することを意味する。Ca2+流入は心筋の拍動ごとに変化するから、アデニル酸シクラーゼ活性とL型Ca2+チャネル活性は、拍動に応じた時間的位相差をもって変化することが予測される。本年度の研究では、アデニル酸シクラーゼサブタイプの分子の制御メカニズムを遺伝子操作動物を用いて検討すると共に、カルシウムによる活性調節が時間的さらには空間的因子によってどのように制御されるのかを検討し、数理モデル化を行って多階層生体機能の統合因子として解明した。さらに我々が手がけてきた様々な治療薬と、不整脈や心不全などの破綻モデルを用いて、アデニル酸シクラーゼと電位依存性L型Ca2+チャネルの機能的共役が持つ意義を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
心筋細胞は拍動による血液拍出の機能を持ち、この機能維持のためには心筋細胞の児童収縮能力とそれを制御する交感神経系の協調作業が必要である。前者は電位依存性のL型Ca2+チャネルからのCa2+流入を通じて、後者はアデニル酸シクラーゼによって産生されるcAMPによってなされる。デニル酸シクラーゼによって産生されたcAMPはPKAやEpacを活性化し、細胞内諸分子のリン酸化を引き起こし、心筋細胞の変力・変時作用を引き起こすことが知られている。逆にその主要な標的のひとつが電位依存性L型Ca2+チャネルであり、リン酸化によってチャネル活性の上昇を起こし、細胞内Ca2+の流入を増加させて心筋の興奮性を制御する。アデニル酸シクラーゼには多数のサブタイプが存在し、心臓型サブタイプは、Ca2+イオンにより直接抑制されることが特徴的に知られており、このことは電位依存性L型Ca2+チャネルから流入したCa2+が、アデニル酸シクラーゼを直接に抑制することを意味する。Ca2+流入は心筋の拍動ごとに変化するから、アデニル酸シクラーゼ活性とL型Ca2+チャネル活性は、拍動に応じた時間的位相差をもって変化することが予測される。このように Ca2+と cAMPは、密接に相互に制御をかけながら心筋細胞の機能を制御する。我々はこれらの前提に基づいて両者の分子の制御メカニズムを検討すると共に、双方向性の活性調節が時間的さらには空間的因子によってどのように制御されるのかを検討し、数理モデル化を行って多階層生体機能の統合因子として解明した。とりわけCell Designerによるシミュレーションが極めて有効であることを見出した。そこで本システムを関連班内の研究者との共同により、細胞内Ca2+濃度がオシレーションする諸条件をシミュレーションすることに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
心臓における自律神経調節の主体は、交感神経受容体と共役してcAMP産生を担うアデニル酸シクラーゼである。アデニル酸シクラーゼによって産生されたcAMPはPKAやEpacを活性化し、細胞内諸分子のリン酸化を引き起こし、心筋細胞の変力・変時作用を引き起こす。その主要な標的のひとつが電位依存性L型Ca2+チャネルであり、リン酸化によってチャネル活性の上昇を起こし、細胞内Ca2+の流入を増加させて心筋の興奮性を制御する。アデニル酸シクラーゼには多数のサブタイプが存在し、心筋細胞にはいわゆる心臓型と称される5型、6型サブタイプが発現する。心臓型サブタイプは、Ca2+イオンにより直接抑制されることが特徴的に知られており、このことは電位依存性L型Ca2+チャネルから流入したCa2+が、アデニル酸シクラーゼを直接に抑制することを意味する。Ca2+流入は心筋の拍動ごとに変化するから、アデニル酸シクラーゼ活性とL型Ca2+チャネル活性は、拍動に応じた時間的位相差をもって変化することが予測される。我々はこれらの前提に基づいて両者の分子の制御メカニズムを検討すると共に、双方向性の活性調節が時間的さらには空間的因子によってどのように制御されるのかを検討し、数理モデル化を行って多階層生体機能の統合因子として解明していく。とくにこれまでの研究成果から、この統合に必要とされる諸因子が推測されており、この知見を基にして、他の研究班と共同で手がけてきた様々な作動薬と、我々がこれまでに開発した不整脈や心不全などの破綻モデルを用いて、アデニル酸シクラーゼと電位依存性L型Ca2+チャネルの機能的共役が持つ意義を検討する。
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