計画研究
本研究では、心臓における興奮伝播を定量的に解析するとともに、その破綻による不整脈発生機構について、活動電位光学マッピングを用いた動物実験と数理シミュレーションにより明らかにすることを目的とする。今年度の研究では、病態心臓における心筋興奮伝播の変化と不整脈発生基質について研究を行った。1. 持続性心房細動:ヒツジ摘出心の心内膜/心外膜面同時マッピング実験により、ペーシング誘発持続性心房細動は、左心房の櫛状筋辺縁領域に投錨したI型フィラメント3次元興奮旋回(scroll wave)により維持されることが明らかになった。数理モデル・シミュレーションでは、scroll wave定在化の機序は、scrollフィラメントの3次元ダイナミクスと、壁厚の薄い心房筋における伸展活性化チャネルの活性化により説明されることが示された。2. 急性心筋梗塞:ウサギ冠動脈結紮による急性心筋虚血に伴って発生する心室細動/頻拍では、虚血境界領域における巣状興奮と機能的リエントリーが重要な役割を果たすことが示された。遅延Na電流と遅延整流K電流(IKr)を遮断するranolazineは、巣状興奮とリエントリーの両者を抑制し、心室細動/頻拍の停止を促した。3. Electrical stormモデル:心筋胎児型遺伝子発現が亢進しているdn-NRSF遺伝子改変マウスでは、心室筋再分極予備能低下による早期後脱分極の発生と、興奮伝導速度低下による機能的エントリーの形成により、心室頻拍/細動が高率に発生する。レニン・アンジオテンシン系の持続的な抑制は、病態の進展に伴う興奮伝導速度低下を改善し、エントリーによる頻拍/細動の持続を抑制することが判明した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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