研究領域 | 反応駆動学:カーボンリサイクルにむけた限界打破への挑戦 |
研究課題/領域番号 |
22H05045
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
織田 晃 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (80762377)
|
研究分担者 |
西村 好史 早稲田大学, 理工学術院, 次席研究員(研究院講師) (10778103)
|
研究期間 (年度) |
2022-05-20 – 2025-03-31
|
キーワード | ゼオライト / CO2還元低温低圧駆動 / 動態 / 原子~サブナノクラスター / 高速高精密電子状態計算 |
研究実績の概要 |
カーボンニュートラル実現にはCO2還元技術の革新が必要である。特に、CO2還元時に投入する外部エネルギーや回収-触媒の多段階工程の削減が必要である。本研究ではCO2回収に有効とされるゼオライトのサブナノ空間場に低温で反応を駆動する金属サブナノクラスターを配置することで、低温低圧でCO2還元を駆動する反応場設計を狙う。ゼオライトサブナノ空間内で金属クラスターの構造を精密制御し、配置する化学が欠落しているため、初年度では金属サブナノクラスター内包ゼオライトの合成方法の探求からスタートした。one-step合成法により、ゼオライト細孔内に原子状で貴金属を分散させられること、及びそれらを直接観察することに成功した。更に、原子内包ゼオライトを逐次還元することで、A01班が提唱する~1 nmサイズの金属内包ゼオライトの合成できることも見出した。A01班が精密設計した金属サブナノクラスターを直接内包させる合成手法も探求した。金属サブナノクラスターが担持されたゼオライト種結晶を中心にゼオライトを更に成長させる種結晶支援合成アプローチに着目した。しかし、残念ながら、担持金属種を強塩基高温条件下(ゼオライト合成条件下)にさらすと金属が凝集してしまい、サブナノサイズを維持できなかった。凝集を防ぎつつゼオライトを成長させる新規アプローチの重要性が示唆された。触媒と吸着のシナジーを合理的に創出していくためには計算化学の支援も必要である。本研究では高速高精密電子状態計算化学プログラムを利用し、ゼオライトサブナノ空間内での未踏ダイナミクスを可視化する。初年度では原子~1nmサイズの金属を内包したゼオライトモデルを構築し、計算パラメーターを最適化し、反応温度域でのダイナミクスシミュレーションを行った。真空下に置かれた金属クラスターの動態との差異が実証され、内包による構造特異性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
材料設計においては金属サブナノクラスター内包ゼオライトの合成と直接観察に成功し、円滑に研究を実施できた。一方で、CO2吸着実験装置が購入できなかったこと、触媒評価装置組み立てに必要な物品がコロナ禍により年度末まで納品されなかったこともあり、性能評価に関する研究進捗は遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
サブナノ粒子の内包には成功し、合成手法を確立した。本年度は3元素以上から成る合金サブナノ粒子の設計に深化させ、CO2還元触媒特性の探求を行う。一方で、当初予定していた共同研究計画である「精密制御されたサブナノ粒子のゼオライトへの内包」は十分にできていない。従来の合成手法では難しいことが判明したため、本年度では、そのボトルネックを解消する新規合成手法の探求も行う。活性点のダイナミクスシミュレーションの基礎はおおむね確立されたため、本年度はスパコンを用いた高速計算を実施する。
|