研究領域 | 精密高分子による次世代医薬開拓 |
研究課題/領域番号 |
22H05051
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
小出 裕之 静岡県立大学, 薬学部, 准教授 (60729177)
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研究期間 (年度) |
2022-05-20 – 2025-03-31
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キーワード | 精密高分子 / オリゴマー / リポソーム / 敗血症 |
研究実績の概要 |
精密高分子、均一オリゴマー(Homo-Oligo)を薬物送達キャリアであるリポソーム(Lip)に搭載することで(Homo-Oligo-Lip)、高い標的認識能と安全性を有する標的分子吸着剤の開発を試みた。本研究では、敗血症の原因タンパク質の一つであるヒストンを標的モデルタンパク質とし2)、血液中でヒストンを中和するHomo-Oligo-Lipを開発することで、敗血症治療への応用を試みることとした。ヒストンは、正電荷領域と負電荷領域からなる塩基性タンパク質であるため、Homo-Oligoは負電荷モノマーであるAcryl acid(A)と疎水性モノマーであるN-tert-Butylacrylamide(T)を用いて合成し、リポソームに修飾した。Quartz crystal microbalance(QCM)を用いてHomo-Oligo-Lipのヒストンに対する結合について検討したところ、修飾するHomo-Oligoの配列と鎖長によりヒストンへの結合量は変化し、特にA2T1、A2T4、A3T0、A4T0を修飾したHomo-Oligo-Lipはヒストンにより多く結合した。次に、in vitroにおいてHomo-Oligo-Lipによるヒストン依存的な毒性中和効果を評価した。QCMの結果とは異なり、A2T3を修飾したHomo-Oligo-Lipが最も高い毒性中和能を示した。最後に、Homo-Oligo-Lipと血清タンパク質であるアルブミン、IgG、フィブリノーゲン、ApoA-1との相互作用を解析したところ、Homo-Oligo-Lipはこれら血清タンパク質を固定化した基盤とはほとんど結合しなかったことから、Homo-Oligoをリポソームに搭載することで、ヒストンに対する特異性が向上したことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、鎖長と配列が完全に規定されたオリゴマーを用いることで、生体内で標的であるヒストンの吸着と中和に成功したことから、概ね順調に進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、標的タンパク質として血管内皮細胞増殖因子(VEGF)を用い、VEGFに結合する均一オリゴマーの組成と鎖長を最適化する。VEGFに結合するオリゴマーは、VEGFのヘパリン結合ドメインに結合するように、ヘパリンに構造が類似した硫酸化糖モノマーを用いて合成する。さらに、VEGFの受容体との結合ドメインに結合するオリゴマーは、疎水性のモノマーを用いて合成する。二種類のオリゴマーを1つの粒子に修飾することで、標的と高い親和性を有する材料を開発していく。オリゴマーの配列と組成を最適化したのち、細胞に添加して、VEGF依存的な細胞の増殖、受容体のリン酸化阻害に関する検討を行なっていく。さらに、担がんマウスにオリゴマー修飾リポソームを投与することで、がんの増殖を阻害できるかどうかを検討していく。
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