研究実績の概要 |
幼少時の脳の発達に関する研究において、シナプスの繋がりかたを表すネットワーク構造を数理的に表すことは重要であると考える。本研究においては幼少時の脳の発達を表すシナプスのネットワーク上の力学系理論の構築、およびその数学的な解析を目指している。 今年度は、他共同研究者との研究打ちあわせを行いながら、事前の情報収集や予備的な考察などを行った。主に脳の発達障害、すなわち自閉症スペクトラムにおいて安定な脳波の出現が重要であるという知見が医学、臨床、数学の両面から得られた。 その結果の数理モデルの構築にとりくんだ。主に蔵本モデルタイプの微分方程式を用いてモデル化し、脳の細胞数が十分に大きいことを用いて細胞数の無限大の極限をとり、偏微分積分方程式に帰着させた。 この方程式を一般化スペクトル理論を用いた力学系の分岐理論の立場から解析し用いて一般化固有値が虚軸をまたぐためのシナプス数の解析を行った。 その結果、幼少期のシナプスの刈り込みに置いて、刈り込みが多すぎても少なすぎても、主に記憶や認知に関するデルタ波が安定には存在できないことが明らかとなった。この数学的な結果は医学的な結果とも一致している。シナプス刈り込み少なすぎる場合は、ASD, 多すぎる場合は自閉症と考えられる。これにより発達障害の数学的な研究が大きく進展すると思われる。今後はこの結果をさらに拡張し、幼少期の脳波の創出や脳の発達に役立ていく。
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